2025年10月31日 アンドリュー・ウィッグ
2025年10月のIBMによるProject Bobの発表を受け、IBM iのコミュニティーは、今後登場するAI機能をもつ統合開発環境(IDE)について、より深く理解できるようになってきました。Project Bobの発表には、1年半以上にわたってIBM iにAIコード・アシスタントが必要だと発言し続けてきたIBM i CTOのスティーブ・ウィル氏が発信した最新情報が含まれています。
2025年5月のIBM watsonx Code Assistant for i(WCA)の発表によって、IBM iのためのAIコード・アシスタントの登場という夢は現実へ一歩近づきました。WCAの発表により、RPGで書かれたアプリケーションのモダナイゼーションを支援することが約束されました。しかしその後、Project Bobが登場し、WCAの機能がプラットフォームに依存しないIDEに統合されつつあります。Project Bobにすでに組み込まれている機能に加え、「IBM iの特別なノウハウ」で最適化されたバージョンも提供される予定であると、ウィル氏は語りました。
Project Bobは、RPG Code Assistantを起点とし、WCAとして発表されたAIコード・アシスタントの単なるリブランディングではありません。2025年10月29日に公表されたIBM iガイドツアー・シリーズの中で、ウィル氏は「Project Bobは、1年半をかけて開発に注力してきたコード・アシスタントよりも遥かに多くのことを実現します。現在、私達は単なるコーディング支援だけでなく、アプリケーションそのものの開発を支援するAIアシスタントの導入について話し合っています」と語りました。
ウィル氏は、Project Bobの支援は、コード変換に加え、以下のようなタスクを含むCI/CDパイプライン全体をカバーすることを強調しました。
- 新規コードの生成
- 依存関係マッピング
- レガシー・アプリケーションのコンポーネントのドキュメント化
- コードの説明
- セキュリティー分析
- 問題報告
- デプロイメント
※IBM Project Bobの発表:より迅速でスマートなソフトウェア開発を実現するAIパートナーより
Bobの特徴
あなたの意図、あなたのコードベース、企業および組織の基準を理解するツールです。
- 意図を理解する
- リポジトリーを理解する
- 標準を理解する
企業における実際の開発のために設計された、主要な機能を備えています。
- エージェント型ワークフロー
- インライン・セキュリティー・スキャン
- 柔軟なデプロイメント
- CLIとリテラシー プログラミング
急速に発展するコード・アシスタント
ウィル氏は、2025年5月にWCAを発表した際、WCAは開発者がRPGを理解し、IBM i上で稼働しているRPGアプリケーションのドキュメント化に役立つと言及しました。そして、目標は、後日、RPGの変換機能に加え、COBOL for i、CL、SQLなどの言語に対するテストとサポートといった追加機能をWCAに導入することと述べました。
IBMはまだ出荷日を発表していませんが、ウィル氏によると、Project Bobは出荷時に上述した全ての機能を実現できる、とのことです。ウィル氏は次のように語ります。
「実際に、皆さんがAIを適切に使用し、IBMがAIツールを開発して支援することで、IBM i固有ではないスキルの応用によって、皆さんはIBM i関連の作業を実行できるようになるのです。そして、Project Bobは従来のアプローチよりも遥かに早く、このことを実現しようとしています」。
Project Bobが理解するコーディング言語に加え、ユーザーは、英語以外のさまざまな言語でIDEを操作できるようになる予定です。 例えば、スペイン語、日本語など、そして、ウィル氏自身はクリンゴン語(『スタートレック』シリーズに登場するクリンゴン人が使用する架空の言語)までもテストしました。
「もちろん、クリンゴン語による検証が、馬鹿げていることは分かっています。しかし、皆さんには、Project Bobに何ができるのかを広い視野で考えていただきたいのです」とウィル氏は語りました。
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関連情報
- Project Bob(英語製品ページ)
- IBM Project Bobの発表:より迅速でスマートなソフトウェア開発を実現するAIパートナー(発表ブログ記事の日本語抄訳)
- Project Bob(YouTubeチャンネル[英語])
本記事は、TechChannelの許可を得て「Project Bob Supercharges IBM i’s Plans for an AI Code Assistant」(2025年10月31日公開)を翻訳し、日本の読者に必要な情報だけを分かりやすく伝えるために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。








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IBM i CTOであるスティーブ・ウィル氏が、「AIを搭載するプラットフォームに依存しない統合開発環境(IDE)」が、開発パイプライン工程全体にわたってどのように支援を行うかを説明します。(編集部)