2025年7月25日 ローラ・ディディオ
ボストン地域を拠点とする調査・コンサルティング会社であるITICの独自調査によると、IBMのPowerサーバーを導入している企業は、最新のPower11プロセッサー搭載サーバーの登場を歓迎しています。そして、ITICの調査に参加した企業の31%が今後12~15か月以内にPower11プロセッサー搭載サーバーに移行する予定であると回答しています。
ITICは、現在Power9プロセッサー搭載サーバーとPower10プロセッサー搭載サーバーを混在させて運用している357社のIBM Powerサーバーの顧客企業を対象に、記述形式の質問を含むWebによる調査を実施しました。さらに、調査結果を補足するために、ITICは10件を超える顧客インタビューを実施し、事例に基づいたフィードバックを追加しました。そして、サーバーの移行時に企業や組織が直面する課題と、Power11プロセッサー搭載サーバーへの早期の移行が検討される理由について、広範かつ詳細な背景や情報を提供しました。
IBM Powerサーバーを使用中の顧客企業がPower11プロセッサー搭載サーバーへの移行を検討する主な理由は、パフォーマンスの向上、信頼性の向上、セキュリティーの強化、AI推論機能の強化、ハイブリッドクラウド環境への対応でした。さらに、調査に参加した企業は、スムーズな移行体験を提供できるIBMの能力に信頼を寄せています。
調査結果の主要なポイントは以下の通りです。
- 調査に回答した企業の31%(118社)は、2025年7月25日の出荷開始後、12~15か月以内にPower11プロセッサー搭載サーバーに移行するつもりであると回答
- 88%(314社)が16~24か月以内にPower 11プロセッサー搭載サーバーにアップグレードするつもりであると回答
- 60%がプロセッサーの「処理性能」向上が移行の理由であると回答。56%がAI推論能力の向上を、55%が新しいセキュリティー機能が重要であると回答。41%がハイブリッド クラウド・サービスのサポートが移行の理由であると回答
- 81%が、Power11プロセッサー搭載サーバーが提供する新たな機能により、現在使用中のPower9プロセッサー搭載サーバーおよびPower10プロセッサー搭載サーバーから、無停止でPower11プロセッサー搭載サーバーに移行できると確信していると回答
- 94%が、IBM Powerのサービスとサポートを「きわめて良い」と評価し、総所有コスト(TCO)と投資利益率(ROI)の面で具体的な利益をもたらしたと回答
進化を遂げたPower11
IBM Powerの製品管理統括責任者であるバルガブ・バラクリシュナン氏は、Power11プロセッサー搭載サーバー発表前の記者会見で、IBM Powerサーバー史上初めて、ハイエンド、ミッドレンジ、エントリーの全モデルが同一の出荷開始日(2025年7月25日)に出荷される予定であると述べました。また、ハイブリッドクラウドへの継続的なコミットを裏付けるもう1つの初めての取り組みとして、同じく出荷開始日から IBM Power Virtual Server経由でPower11プロセッサー搭載サーバーが利用可能となる予定です。
IBM Power11プロセッサーは、高いクロック速度、前世代よりもチップあたり25%多いコアのサポート、量子セキュリティー、「99.9999%(シックス・ナイン)」の信頼性※の保証などのきわめて重要な技術的進歩を実現させています。
※ 99.9999%は、年間で31.5秒の計画外停止時間に相当
一方、「性能向上」を超えた取り組みとして、IBMは既存のPowerサーバーの顧客基盤の維持とサポートに取り組みつつ、銀行、金融、政府、医療、小売といった従来からの垂直市場を越えて、新たな分野への展開を拡大しています。
Power11プロセッサー搭載サーバーは、サーバーの実行と維持管理における以下のような課題を自動化によって取り除きながらIBMのAIリーダーシップを強調します。
- メンテナンス作業のための計画停止時間ゼロ:Power11プロセッサー搭載サーバーには、自動パッチ適用、ライブ・アップデート、ローリング・アップグレードなどの機能が組み込まれています。これらの機能により、IT管理者とシステム担当者がメンテナンス関係の作業に費やしていた時間が最大40%節約されると、IBMの幹部は語りました。
- ランサムウェア攻撃を1分以内に検出:IBM Power Cyber Vaultは、NISTのサイバーセキュリティー・フレームワークとの組み合わせにより、システムをハーベスト攻撃(訳注)やファームウェア整合性攻撃から保護します。
- ビジネス・プロセスの変革のためのシームレスなAI統合:Power11プロセッサー搭載サーバーは、IBM Spyreアクセラレーター・チップをIBM Red Hat OpenShift AIおよびIBM watsonx Code Assistantと組み合わせることで、速やかにAIに対応できるインフラストラクチャーを実現します。
- より効率的なIT:自動データ収集機能により、IT担当者はエラー解決に要する時間を最大8時間節約できます。Power11プロセッサー搭載サーバーのエネルギー効率モードは、x86サーバーと比較して1ワットあたりのパフォーマンスを2倍向上させます。
(訳注)ハーベスト攻撃:現時点では解読不能な暗号化されたデータを盗聴してこれを保存しておき、量子コンピューターが将来的に実用化された時点で解読しようとする攻撃方法。
Power11プロセッサー搭載サーバーへの移行を推進する理由
新たな機能と無停止アップグレードという約束は、Power9やPower10プロセッサーを搭載するIBM Powerサーバーを使用中の企業が、Power11プロセッサー搭載サーバーにアップグレードする際の説得力のある理由になると顧客およびアナリストは言います。
「Power11プロセッサー搭載サーバーが提供する機能の数々は、当社の必須要件をすべて満たしています」と新たなサーバー・プラットフォームのベータ・テストを行った金融機関のIT統括責任者は語りました。IBM Powerサーバーの長年の顧客であるこの金融機関は、オンボードAI推論、ハイブリッドクラウドサポート、そして「99.9999%」の信頼性保証を特に評価しています。
さらに、このIT統括責任者は、具体的な移行予定時期についても言及しました。「IBMが提供する、無停止でスムーズな移行を実現する技術サービスとサポートには、本当に夢中になりました。当行は停止時間を一切許容せず、移行や新規アプリケーションのプロビジョニングに伴う停止を避けたいと考えています。われわれは、迅速かつ効率的に移行を完了させたいのです。IBMはまさに無停止での移行を遂行する意欲と能力を示しました。当行は年内にPower11に移行する予定です」
コンサルティング会社であるエンダール・グループの代表、ロブ・エンダール氏は、次のように語りPower11プロセッサー搭載サーバーを高く評価しました。「Powerサーバーのお客様は、インフラストラクチャー全体をサポートする、安全で、無停止で、信頼性の高いプラットフォームを購入していることを自覚しています。それが、IBMの差別化要因です」
ブレインウェーブ・コンサルティング社の社長、アンドリュー・ベイカー氏も同意見で、次のように述べました。「IBM Powerプラットフォームは非常に素晴らしい評価を得ています。Power11は堅牢で、信頼性が高く、革新的で、しかもセキュリティーがしっかりしています。AIオンチップ推論機能はこれに花を添えるものです。Power11は、素晴らしい価値提案です」
本記事は、TechChannelの許可を得て「31% of Enterprises Plan to Migrate to IBM Power11 Within 12 to 15 Months」(2025年7月25日公開)を翻訳し、日本の読者に必要な情報だけを分かりやすく伝えるために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。
無停止での移行方法があること、AI、ハイブリッドクラウドの利用、高い信頼性を主な理由に、旧モデルのIBM Powerサーバーを使用中の企業の31%が、1年から1年半の間にPowe11プロセッサー搭載モデルへの移行を計画していることがITICの調査によって判明しました。 (編集部)