2025年10月7日 スティーブ・ウィル
本日、IBM iポートフォリオ全体にわたる一連の重要な更新を発表します。この発表は、継続的なイノベーション、開発者およびシステム管理者の生産性向上、そしてプラットフォームの復元力に対するIBMのコミットメントを強調するものです。これらの発表には、IBM i 7.6およびIBM i 7.5の次期テクノロジー・リフレッシュ、開発ツールの更新、そして現代のコーディング環境に向けた新たなエンタープライズ・サポートが含まれており、企業や組織にとってビジネス上重要なアプリケーションやワークロードのIBM iおよびIBM Powerサーバー上での実行を継続する裏付けとなります。
今回の一連の機能強化によって、IBM iとオープンソースのテクノロジーとの緊密な統合が実現します。そして、アプリケーションのモダナイゼーションと機能拡張が容易になります。これらの更新によってセキュリティーと高可用性を強化するとともに、コンプライアンスや、災害や障害からの回復力という厳格で新たな要件を満たせるようにします。これら一連の機能強化による進歩は、IBM iがイノベーション、モダナイゼーション、そして長期的な成長のための戦略的プラットフォームであることを裏付けています。
Project Bob
IBM i のコミュニティーでは、RPGやその他の言語で記述された膨大な量の重要なソフトウェアをサポートするAIコーディング・アシスタントの登場が待たれていました。
私達はこれまで、アプリケーションのモダナイゼーションの指針を示しながら、AIコーディング・アシスタントがIBM iスキルのニーズにどのように対応できるかについて語ってきました。そして本日、そのアシスタントが発表されました。
RPGやその他の言語で記述されたソフトウェアのサポートは、「Project Bob」が取り組んでいる多くの要件の一部です。私達は、IBM iとPowerサーバーの活用によるお客様の進歩を支援するための基盤ツールとして「プロジェクトBob」を使用できるようになることに興奮しています。
近日中に別記事にて「Project Bob」の詳細とIBM iにとっての有用性についてお知らせする予定です。
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参考
- 【製品ページ】Project Bob(英語)
IBM i 7.6 テクノロジー・リフレッシュ 1 (TR1)
IBM i 7.6 TR1には、パフォーマンス、使いやすさ、オペレーティング・システム全体にわたる統合を向上させる新機能が導入されています。
IBM Navigator for iでは、システム管理の簡素化のために、Web管理機能の拡張、権限リスト管理、セキュリティー強化が行われています。
IBM i Access Client Solutions(ACS)では、SQLパフォーマンス・ツールの機能強化、統合ファイル・システム(IFS)の操作性の改善とデータ転送機能の強化が行われています。
Db2 for iでは、SQLサポートの改善、大規模文書処理用の拡張スカラー関数、新たなエラー・ログ、インデックス機能を実現しています。
ハードウェア面では、ファイバーチャネル・マルチパス処理とvSCSIディスクのパフォーマンス向上により、レイテンシーが低減され、システムの応答性が向上します。
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参考
- 【IBM Support】IBM i 7.6 – TR1 Enhancements(英語)
- 【発表資料】IBM adds new capabilities and enhancements with IBM i 7.6 Technology Refresh 1(英語)
- 【Qiita】IBM i 7.6 TR1が発表されました 2025.09.21 ①OS関連 by @gomAnomalocaris
IBM i 7.5 テクノロジー・リフレッシュ 7 (TR7)
IBM i 7.5 TR7は、これまでのイノベーションを基に構築され、モダナイゼーションとシステムの柔軟性に重点を置いています。
IBM i Migrate While Activeに新しいパーティション・ミラーリング方式が追加され、ダウンタイムや保存・復元操作なしにネットワーク経由でパーティション全体の移行を行えます。
Navigator for iの強化はIBM i 7.6と同様であり、管理の効率化と、セキュリティーの強化を実現します。
IBM i Access Client Solutions(ACS)は、コマンドライン・プラグインの改善、SQLワークフローの機能強化、システム構成の可視性向上を取り入れています。
Db2 for iは、新たなSQL機能と拡張サービスが特長であり、開発者のモダナイゼーションへの取り組みを推進します。
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参考
- 【IBM Support】IBM i 7.5 – TR7 Enhancements(英語)
- 【発表資料】IBM adds new capabilities and enhancements with IBM i 7.5 Technology Refresh 7(英語)
IBM Rational Developer for i V9.9
IBM i 開発者向けの戦略的な統合開発環境(IDE)の最新版であるIBM Rational Developer for i RPG and COBOL Tools Edition V9.9を発表しました。
Rational Developer for i V9.9はEclipse 4.31を元に構築されており、統合性を向上するとともに、最新の開発ツールを提供します。最新版のRational Developer for i には、拡張されたRPGおよびCOBOL言語サポート、強化されたGitワークフロー、IBM i Access Client Solutionsとの強力なプロジェクト統合が含まれます。
Rational Developer for iはWindowsとmacOSの両方のサポートを継続し、クロスプラットフォーム開発の柔軟性を実現します。
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参考
- 【製品ページ】IBM Rational Developer for i
VS Code用IBM i 拡張機能のエンタープライズ・サポート
開発者の選択肢を拡大するために、IBMはVS Code(Visual Studio Code)向けの「IBM i Development Extension Pack」のエンタープライズ・サポートを導入します。これにより、VS Code内のRPG、COBOL、CL、SQL拡張機能に対して、IBMエンタープライズ・サポートが提供されます(*)。
修正プログラムと更新プログラムは、Visual Studio Marketplaceを通じて独占的に提供されます。これらの拡張機能はIBM i 7.4以降でサポートされており、開発者にモダンかつオープンソースに親和的な環境を提供します。
(*)VS CodeのIBM i 拡張機能のエンタープライズ・サポートを選択することで、グローバルのサポート部門から直接サポートを受けられます(出典:Announcing IBM i Extensions for Visual Studio Code Enterprise Support)。
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参考
- 【Visual Studio Marketplace】IBM i Development Pack
ここまで紹介してきた今回の発表により、IBM i はビジネスの回復力、アプリケーションのモダナイゼーション、開発者の生産性におけるリーダーシップの拡大を継続しています。次世代のデータベースやシステムの強化から、堅牢なIDEやオープンソース・ツールのサポートに至るまで、IBM i は、企業や組織が俊敏かつセキュアな将来への備えの準備を整えた状態であり続けることを支援します。今回の発表におけるあらゆる進歩は、企業の既存投資の価値を最大化するだけでなく、新規技術の導入を簡素化します。
Power11プロセッサー搭載サーバーの優れたパフォーマンスと信頼性をベースに、IBM iはお客様が自信を持ってイノベーションを推進し、将来的な要求に対応するための拡張性を保証します。
本記事は、TechChannelの許可を得て「IBM i October Announcements: Enhancing Application Development, Modernization and Performance」(2025年10月7日公開)を翻訳し、日本の読者に必要な情報だけを分かりやすく伝えるために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。








![[2025年6月30日更新] ADTS 一部機能のサポート終了について](https://iworldweb.info/wp/wp-content/uploads/2025/01/adts02.jpg)



IBM i CTOスティーブ・ウィル氏が、2025年10月5日に発表されたIBM iの機能強化の主だった項目の中から、新しいコーディング・アシスタントであるIBM Bob、IBM i 7.6および7.5のテクノロジー・リフレッシュ、Rational Developer for i の新バージョンなどを紹介します。(編集部)