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2025.01.07
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RPG Code Assistant プロジェクト: Steve Will によるアップデート

RPG Code Assistant プロジェクト: Steve Will によるアップデート
RPG Code Assistant プロジェクト: Steve Willによるアップデート

2024年12月に開催されたIBM社主催「IBM i Advantage」には、
IBM i のCTO(Chief Technology Officer)である Steve Will氏が約5年ぶりに来日し、
「IBM i 製品ストラテジー」と題した講演を行いました。

その中で言及されたトピックスの中でも目下最も注目を集めているのが
RPG Code Assistant(以下RPGCAと略) プロジェクトです。

当記事は、米国Tech Channel社が掲載したWeb記事を翻訳したものであり、RPGCAプロジェクトについてより詳細に語られています。 12月の講演をお聞きになられた方も是非併せてご一読ください。

今や世界中のIBM iユーザーが、進行中のRPGコード・アシスタント(RPGCA)プロジェクトについて、Steve Will氏に会いたいと言い続けています。

IBM iのCTOであるWill氏は、IBMのGuided Toursプログラムの一環として2024年12月11日にライブストリーミング配信された(アーカイブはこちら)説明会で、「一日に何回も、毎日のように、このようなリクエストを頂戴しています」と語りました。
Will氏は、この1時間のオンライン・セッションにてよくある質問に答え、プロジェクトの最新情報を提供することで、この人工知能(AI)ツールに対するIBM iコミュニティの好奇心を満たすことができると期待したのです。

IBMの公式発表によると、このコード・アシスタントは、「IBM iソフトウェアの開発者が既存のコードを理解し、自然言語を使って新しいRPGプログラムを作成し、テストケースを自動的に生成するのを支援する」ものになるそうです。

2025年第2四半期のベータ版リリースに続き、同年後半にはコード・アシスタントの一般提供を実現したいと、Will氏はプロジェクトへのIBMのコミットメントを強調しました。 「IBMはこのプロジェクトを強力に推進しています。このプロジェクトをとても大きな取り組みとして考えています。ただし、このプロジェクトはまだ定義段階にあり、我々は多くの新しいことについて学んでいる最中なのです。」とWill氏は語りました。

IBMが認識しているのは、RPGに堪能な開発者を調達するのが年々難しくなっているということと、IBM i を使っているユーザーはITエコシステムのモダナイゼーションに取り組む中で、現有スキルをフル活用しなければいけないという現状です。

RPGCAの目標は、RPGを知っているが「誰かがずっと前に書いたコードを初めて手渡された」人々を支援することでもある、とWill氏は言います。 「そしてこのコード・アシスタントは、どちらの種類のプログラマーも助けることができる様になるはずです。」

RPGCAが狙う3つの主な機能

RPGCAに期待される機能の多くはまだ開発段階であるという注意点を踏まえながら、Will 氏はIBMがコード・アシスタントに盛り込みたいと考えている3つの主な機能の概要を説明しました。
Will氏はこの計画されている機能を、実際の利用可能日はそれぞれ異なるかもしれないものの、 “私たちがすぐに目指している3つのこと “と呼んでいます。

Explain(説明)

「コード・アシスタントは、既存のRPGを読んで、そのコードが何をしているのかを人間の言葉(英語)で説明することができるようになるはずです」とWill氏は言い、これが一番最初に提供できると最も確信している機能だと付け加えました。

Explain機能では、ユーザーは「RPGのソースファイルやGitリポジトリをクリックして、これを説明してくれ、と言って、Explainというボタンをクリックする」ことができるようになる予定だ、とWill氏は語ります。

また、RPGCAの最初のバージョンで検索自動生成(RAG)が可能になるかどうかは不明ですが、RAGが実装されると、組織に特有のコーディング標準を取り入れたり、最初のトレーニング・データ以外のドメイン固有の情報にアクセスしたりすることが可能になります。

「(RAGが実装されれば)組織が独自の機能を追加したり、モデルがどのように対応すべきかを独自に規定したりできるようになります。
現時点では、すぐに対応できるかどうかはわかりませんが、多くのLLMのユースケースでは、自分たちのやり方通りにカスタマイズする必要がありますから、明らかに実装する必要があると思っています。」

Generate(生成)

RPGCAのコード生成機能がどのようなものになるかはまだあまり明確にはなっていませんが、プロジェクト・チームはこの機能に2つのバリエーションを含めることを目指しているようです。
1つのバリエーションでは、”記述に基づいて最新のフリー・フォーマットILE RPGを生成できるようにする “ことが目標だとWill氏は語っています。

二つ目のコード生成機能は、オートコンプリート機能のようなものだといいます。「IDEにRPGを入力している間に、次に必要と思われるものをリアルタイムで提案してくれるようなものを想定しています。」

この機能は開発者の仕事をすべてやってくれるわけではありませんが、 「例えば、プロシージャを入力し始めると、そのプロシージャを構文的に正しくするために必要なものをコード・アシスタントがすべて埋めてくれる。よって、開発者は次のロジックに集中できる。あるいは、ある種のカウント・ループを始める際に、コード・アシスタントがそのループを終えるための正しい構文を確認してくれる、という具合に、プログラムの全容を理解していなくてもコード・アシスタントが支援できることは多いはずです。」とWill氏は説明しました。

Write Test Programs for RPG(RPGのテスト・プログラムを生成する)

3つ目の機能は「少し難しくなりそうだ」とWill氏は言っていますが、RPGCAチームはRPGのテスト・プログラムを書く能力を目標としています。「コードのテスト・プログラムを作成することに注力してきたアシスタントは、世界でもそれほど多くはないでしょう。」

Will氏のチームは、広く使われているテスト手法やツールセットに関する情報を収集し、「単純にテスト・プログラムを生成するだけでなく、使用している特定の環境向けにテスト・プログラムを生成するようモデルに求めることができる」ようにしようとしています。 その目標を達成するためには、「十分なテスト情報、テスト構築情報、テストフレームワーク情報をすべて確実に入手しなければなりませんが、ユーザーに明らかな恩恵をもたらすことは確実です。」

山積する課題

Will氏は、RPGCAプロジェクトがより鮮明になってくる2025年初頭に注目するよう、関係者に呼びかけています。「それまでにはもっと多くのことが明らかになるでしょう。おそらく2025年2月のいつかには、最新情報をご提供できるだろうと考えています。もし2月がダメなら、4月の上旬には・・・・ そして、第2四半期に入る頃には、物事が本当に流れ始めるはずですので、是非注目頂ければと思います。」

Will氏は最後に、最新情報を得るために彼のソーシャルメディア・チャンネルをフォローするように伝えました。 「私たちは本当に色々な事を検討しなければいけないのです。」

「どのようにそのモデルをホストするのか、どのようにその機能を提供するか、どのように新しい機能を提供するか、どのようなモデルであれば十分なのか、どのようなモデルであればお客様の期待に応えられるのか。本当に様々な事柄が含まれます。それは科学であると同時に芸術でもあるのです。」



本記事は、TechChannelの許可を得て「RPG Code Assistant Project: Steve Will Gives an Update」(2024年12月16日公開)を翻訳し、日本の読者にとって分かりやすくするために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。

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