2026年5月26日 アンドリュー・ウィッグ
IBMの発表によると、IBM iを利用している企業は、AI駆動による新たな統合開発環境であるIBM Bobの専用拡張機能を、2026年6月24日から利用できるようになります。
2026年3月にプラットフォームに依存しないツールとして出荷開始されたIBM Bobは、IBMによって「AIソフトウェア開発ライフサイクルパートナー」として位置づけられ、開発者がコードを理解、モダナイズ、リファクタリング、生成するのを支援します。アドオンであるIBM Bob Premium Package for iは、これらの機能を強化したもので、IBM iのCTOであるスティーブ・ウィル氏が「IBM iの特製ソース」と呼ぶものをIBM Bobに投入しています。
IBM iおよびIBM Powerの製品マネージャーであるブランドン・ペダーソン氏が公開したIBM Bob Premium Package for iの発表に関するブログ記事は、新しいBobパッケージの機能を次のようにまとめています。「IBM Bob Premium Package for iは、開発チームが、企業や組織の力の源泉であるビジネス上重要なロジックを維持しながら、より迅速かつ確実に、そして一貫性をもってアプリケーションをモダナイズするのを支援する設計になっています。」
IBM Bob Premium Package for iによる、「ビジネスロジックを維持しつつ、迅速かつ確実に、そして一貫性をもったアプリケーションのモダナイズ」を実現するために、IBM iのチームが目標にしている5つの観点を以下で紹介します。
1. ネイティブなIBM iへの接続
IBM Bobの標準パッケージは、IBM iのネイティブなファイルシステムに直接アクセスできません。IBM Bob Premium Package for iは、IBM iへの接続を自動化することで、この問題を解消している、とスティーブ・ウィル氏は言います。
「つまり、IBM iのソースメンバー内にあるソースコードを使って作業したい場合、IBM Bob Premium Package for iはIBM Bobの標準パッケージとIBM iのソースメンバーをつなぐ接着剤のような役割を果たします。その結果、普段開発を行っている場所からソースコードをIFS上のファイルに移動させ、編集後にまた元の場所に戻す必要がなくなります。」と彼は説明します。
2. IBM i 開発者モード
IBM Bobの標準パッケージには、作業内容に応じて選べるいくつかの事前設定されたモード(Codeモード、Askモード、Planモード、Advancedモード、Orchestratorモード)が用意されています。IBM iのビジネスアーキテクトであるティム・ロー氏は、「モードは基本的にペルソナのようなものです。これにより、IBM Bobは、やろうとしている作業を理解できます。」と、5月に開催されたPOWERUp 2026の基調講演で説明しました。
IBM iのチームは、IBM Bob Premium Package for i用にIBM i 開発者モードというもう1つのモードを開発しました。これは、IBM iでの開発専用に構成された「ペルソナ」です。つまり、RPG、CL、SQL/DB2 for i、COBOL、DDSなどのネイティブのIBM i 言語に焦点を当てています。このように、「IBM iというプラットフォームの複雑さや独自性が考慮されます。」とティム・ロー氏は説明しました。
3. 最適化されたスキルとエージェント型ワークフロー
IBM Bob Premium Package for iの中核となるコンポーネントは、IBM i 向けに厳選されたスキルとワークフローを集めたものです。これらによって、IBM Bobはタスクを正しく完了するために必要なコンテキスト、明確さ、そして専門的なガイダンスを得ることができる、とティム・ロー氏は説明しました。
「どうやればいいのか?最善の方法は?IBM Bobが注意する必要のある落とし穴は何か?それらのことが、さまざまなユースケースに組み込まれています。これまでに40種類ほどの異なるスキルを開発しました」とティム・ロー氏は語りました。
これらのIBM i 用に仕立てられたスキルとワークフローは、以下のようなユースケース向けに特別に設計されています。
- 固定フォーマットRPGをフリーフォーマットRPGに変換
- レコードレベルのアクセスをSQLに置き換え
- RPG/CL/DDSコードの生成
- ソースコードから技術文書を作成
- RPGの単体テストを生成し、モダナイゼーションとコード検証をサポート
- モノリシックな(全ての機能が組み込まれている単一の)プログラムを、モジュール化されたコンポーネントにリファクタリング
4. 厳選されたRAGドキュメント
IBM Bobが、それを支えている大規模言語モデル(LLM)の外にある知識を活用できるようにするために、IBM iチームは検索拡張生成(RAG)をサポートする「IBM iに特化したドキュメントの厳選リスト」を作成した、とティム・ロー氏は語りました。このドキュメントは、1980年代のAS/400とIBM System/36(後にIBM System/38との統合によってAS/400となったシステム)にまで遡ります。
「System/36時代のドキュメントの中には、RPGⅡから現代のILE RPGに移行するときに、今でも役立つものが世の中にあります。なぜなら、たとえば、「論理サイクル」が一体何なのかをIBM Bobが知る必要があるからです。」とティム・ロー氏は述べ、RPGに組み込まれている『RPG論理サイクル』に言及しました。この『RPG論理サイクル』は、現代的RPGの登場に伴い、1990年代に使われなくなりました。「これは、ペダルを漕いで移動するようなものではありません。(昔のRPGプログラマーを除き)誰も理解できない、全く別のものなのです。」
IBM Bob Premium Package for iに含まれている厳選されたドキュメントには、新しすぎてIBM Bobのトレーニングデータには含められなかった技術的なSQLの詳細などの情報もある、とティム・ロー氏は指摘しました。
5. 最適化されたプロンプト
IBM Bobのユーザーは、Bobcoin単位(1Bobcoinあたり0.50米ドル相当)で課金されます。これらのBobcoinを効率的に使用するには、効率的なプロンプトが必要です。そのことを念頭に、IBM Bob Premium Package for iは、ユーザーがツールを最大限に活用できるよう、専用プロンプトを備えています。
「IBM BobはRPGの説明をかなりうまく行ってくれますが、私たちは特化したプロンプトを使ってそれらのプロンプトを作成する方法を考え出しました。ですから、皆さんは最小限のBobcoinのリソースで最大限の精度が得られるはずです。」とスティーブ・ウィル氏は言います。
この専用プロンプトは、IBM iのチーム自身がIBM Bobを探求する過程で得た成果であり、IBM Bob Premium Package for iのユーザーは、今後さらに多くの知見がこの拡張機能に反映されることを期待できます。
「私たちはIBM iユーザーの皆様に先駆けて学んでいます。したがって、ユーザーの皆様は私たちが学んだことを活用できるようになるでしょう。そして、私たちは時間をかけてさらに多くのことを学び、学んだ成果がIBM Bob Premium Package for iの一部になるでしょう」 とスティーブ・ウィル氏は語っています。
本記事は、TechChannelの許可を得て「IBM Bob Premium Package for i Gets June 24 GA: Here Are 5 Specialized Capabilities」(2026年5月26日公開)を翻訳し、日本の読者に必要な情報だけを分かりやすく伝えるために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。












IBMは、IBM Bob Premium Package for iの一般提供を2026年6月24日に開始すると発表しました。IBM Bob Premium Package for iは、IBM iユーザー向けにカスタマイズしたAI駆動型開発ツールで、IBM iにおけるソフトウェア開発や維持管理の在り方を大きく変えるものとして多くのIBM iユーザーが期待しています。
今回は、製品出荷に先立ち、この統合開発環境の新バージョンに盛り込まれる『IBM iならではの特別な要素』について、IBM iのスティーブ・ウィル氏とティム・ロー氏による解説をお伝えします。(編集部)