セキュリティー、クラウド、AI時代への対応を強化する包括的アップデート
IBMは2026年7月14日、IBM i 7.6/7.5向けの最新機能更新Technology Refreshを発表し、7月24日に正式リリースしました。
本アップデートは、IBM iの持つ高い信頼性や安定性を維持しながら、クラウド活用、サイバーセキュリティー強化、システム運用の効率化、アプリケーションのモダナイゼーションへの対応を進める内容となっています。
今回のTRは単なる保守的な機能追加ではなく、企業がAIやハイブリッドクラウド時代に対応するための基盤整備を目的とした戦略的アップデートと位置付けられています。
Technology Refresh概要
今回のTRにおける主な機能拡張は以下の4点となります。
1. P05向けのPower11と拡張されたハイブリッドワークロードの柔軟性
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Power S1112 for IBM i P05:エンタープライズの能力をエントリー環境に導入
- リソース利用率の向上を実現し、S1112上でIBM i を他のワークロード(Linux、AIX、VIOS)と連携
- ファームウェアが追加のメモリ上で動作できるようにすることで、IBM i ワークロードに割り当てられるメモリを増加
- IBM iと並行してLinuxベースのAIとオープンソースワークロードを有効化
- P05クライアントおよびISVの開発・テストに適したコスト効率の良いプラットフォーム
2. サイバーリスクと計画的なダウンタイムの削減
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セキュリティーとビジネスレジリエンスの強化
- SMTP用のOAuth 2.0
- IBM Cloud Key Protect統合および強化されたマスターキー保護(IBM i 7.6のみ)
- クラスタリングのMFAサポート(IBM i 7.6のみ)
- Linuxコンソール向けのセキュアアクセスの設定が可能
- Db2 for i SQL サービス(セキュリティー)の機能拡張
- Migrate While Active Partition Mirroring 7.6 サポート
- Migrate While ActiveにおけるOSアップデート
- BRMSのウェブインターフェースの強化
3. モダンな開発とイノベーションの加速
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モダンなアーキテクチャー、開発者ワークフロー、AI対応のイノベーションを可能にする
- Java 21のサポートと最新のツール
- Code for i、VS Code 統合、REST API の機能拡張
- SQL、自動化、観測可能性に関するDb2 for i の機能拡張
- RPG開発のためのRDSの強化
4. より効率的な運用
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リリースレベルのCVE可視性
- 分析やAIのためのリレーショナルテーブルとして公開されたジャーナルデータ
- Electronic Service Agent (ESA) Cloud Call Home supportの改善
- IBM Navigator for i と ACS の機能拡張
- 仮想イーサネットマルチキューのサポートによるCPU利用率とスループットの向上
Power S1112 for IBM i P05
IBM Power S1112については、具体的な技術内容が記載されている以下の記事にて詳細をご確認ください。
セキュリティーとビジネスレジリエンス
ここでは、ビジネスレジリエンスの強化に繋がる「Migrate While Active」の新機能を紹介します。
Migrate While Activeは2024年に発表されたDb2 Mirror for iファミリーのオプションであり、非同期レプリケーションでオンプレミスやIBM Power Virtual Server(PowerVS)へのシステム移行を可能にする移行支援ソリューションです。
IBM i 7.5では既に利用可能であったDb2 Mirror for iの基本機能を活用したパーティションミラーリングを使用した移行が、今回のTRによってIBM i7.6でもサポートされるようになりました。さらに、外部ストレージのレプリケーション機能を利用した移行支援が、新たに可能となりました。
また、外部ストレージのレプリケーション機能の一つであるFlashCopyと組み合わせることで、本番環境を稼働させたまま、移行先環境でOSリリースアップが可能となり、アップグレードを実施しつつシステムデータの同期をした上でシステム切り替えが可能となっています。
モダンな開発とイノベーション
ここでは、SQLサービスの継続的な機能拡張と、IBM ACSやVisual Studio Codeの拡張機能でのデータベース機能拡張をとりあげます。
今回、SQLサービスには17のサービスが新たに追加されていますが、System Service Tools(SST)関連の4つのサービスは7.6のみでの提供となるのでご注意ください。
※ 他にも既存の13のサービスで機能拡張がされています。
効率的な運用
継続的に機能拡張がなされているIBM Navigator for iでは、今回新たに追加された”CVE_INFO テーブル関数”を利用し、連携することでセキュリティー対応状況を一覧表示することが可能となりました。これにより管理者は複数環境の脆弱性状況を一元的に把握し、優先的に対応すべき問題を迅速に判断できるようになります。
また、IBM ACSも最新のV1.1.9.13がリリースされており、CVEに対するセキュリティー対応以外に、SQLスクリプト実行のサンプルの追加などによりセキュリティーやシステム運用の向上を図ることが可能となりました。
他に、IBM i 7.5/7.6で2025年からJava 21が利用可能になっていますが、既にインストール済みの場合には、IBM Navigator for iはJava 21で稼働することになります。
参考情報
筆者
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日本アイ・ビー・エム株式会社 |













今回のTRは派手な機能追加よりも、企業システムの現場で求められる「セキュリティー」「運用性」「コンプライアンス」「クラウド適応力」を着実に高める内容となっています。
ミッションクリティカルな基幹システム基盤として、今後もIBM iが進化し続けることを示す内容の発表となっていると言えるでしょう。