2022年7月14日 チャーリー・グアリーノ
オープンソースへの信頼、助けを求める人を助けること、懐疑論の健全性そして熱狂の落とし穴についてマイク・パヴラック氏が語ります。
チャーリー・グアリーノ(以下、チャーリーと略): TechTalk SMBへようこそ。今日はマイク・パヴラックさんをお招きしています。マイクは1992年からIBMのミッドレンジソリューションに携わっており、その前はメインフレームに携わっていました。彼は長年RPG、CL、PHPを使っており、現在はPerforce社でソリューションエンジニアとして世界中の企業のモダナイゼーションとオープンソースの技術課題への取り組みを支援しています。加えてCOMMONのボランティアでもあります。そして最後に、彼はシカゴ郊外のモレーンバレー・コミュニティカレッジの教師として、PHPとPythonのクラスを教えてもいます。
マイク、あなたはPHPとPython、そしてオープンソース技術全般に関してコミュニティで有名ですが、この対談でそのことに焦点を当てたいと思います。
オープンソースの状況 ― 信頼と健全な懐疑
チャーリー:あなたとの議論で、Red Hatが「エンタープライズ・オープンソースの状況」というタイトルの年次報告書を出していることを初めて知りました。そこには興味深いトピックがいくつかあります。その報告書全般について教えてください。
マイク・パヴラック(以下、マイクと略):私はこの報告書を2年間注意深く見てきました。興味深いのは、オープンソースで何が起きているかについて多くの逸話に溢れていることです。Red Hatが努力していくつか実際に調査と計算を行い、その背後にいくらかの統計を加えました。世間には未だにオープンソースを信頼していない人がたくさん居ます。それは流行に過ぎないとか安全ではないとか、世の中にはあらゆる神話があります。今、世の中の80%の企業がオープンソースを使用しており、50%以上の企業がプロプライエタリソフトウェアへの投資をやめており、SaaSが成長しています。それらの企業は舞台裏でオープンソースを使用しています。なぜなら、彼らはプロプライエタリソフトウェアなどを購入する余裕がなく、オープンソースを使用する必要があったからです。つまり、オープンソースは真のプレーヤーであり、このRed Hat報告書のようなものが、人々と共有できる非常に信頼できるリソースになるというのが現実です。
チャーリー:あなたは、この報告書は信憑性が高いと言いました。それは、ことによるとオープンソースが必ずしも一人の人間の所有物ではないという理由で、オープンソースを使用している産業界には信憑性があまりないかも知れないと示唆しているのでしょうか。
マイク:私は本気でそう思っています。最近4~5年の間に何かを学んだことがあるとすれば、信憑性は大いに疑問視されていると思います。すべてに対して健全な疑いを持つのは良いことだと思います。
ポール・ローマーというノーベル賞受賞者がいます。彼は統計学者で、商用ソフトウェアを使って多くの研究を行っていました。彼は自分の論文を発表するためにピアレビューを受ける必要がありましたが、彼の使っている高価な統計ソフトウェアのせいでそれが難しいことに気付きました。そこで調べたところPythonとPostgres DBを使うことで、商用ソフトには無い必要な機能が手に入る上にお金が無い研究者でもピアレビューが可能なことが分かり、彼は自分の研究を実際に世に出すことができました。
基本的に彼が言っているのは、プロプライエタリなソフトウェアよりもオープンソースを信じているということです。なぜなら、オープンソースソフトウェアではコードを見ることができ、何が起こっているかを確認できます。プロプライエタリなソフトウェアでは、そのコード内で何が起こっているのかわかりません。結局のところ、技術的な観点から使用しているあらゆるものについて懐疑的であるべきであり、それは健全な懐疑論であるべきだと思います。
チャーリー:この報告書の巻頭でRed Hatの社長兼CEOであるポール・コーミアが書いていることは、あなたの言っていることを確証していると思います。
マイク:2002年に私が初めてオープンソースに触れたとき、私はそれに情熱を注いでいました。私はそれについて多くの信条を持っていました。人々がLinuxを信頼できなかった古き良き時代を今でも覚えています。System zが依然として重要なのは、適切なタイミングでLinuxを採用したからというのが多分主な理由の1つです。LinuxはSystem z上で現実世界クラスのプレーヤーになりました。メインフレームブランドにLinuxを採用したIBMは、オープンソースに多大な信頼をもたらしました。IBM iがそれをやろうとしたとき、その分野ではさほど反響がなく、少し競争に遅れていたと思います。
チャーリー:悲しいことに、多くの人が古い認識にただ固執し、そこに留まっていると思います。彼らはメインフレーム、あるいはIBM iまたは敢えて言うならAS/400と聞くと直ぐにどう思うでしょう。彼らは古いレガシーシステムについて考え、あなたと私は精根尽きるまでこれらのシステムがどれほどオープンであるかを正確に語るでしょうが、ここでの認識の問題はまだ存在しています。
マイク:私が尊敬しているTripp Lite社のCFOから教えられたことをあなたと共有します。彼は、私がエネルギッシュで新しいことを探求したい、突進したい人間だということを知っていました。そこで私に手綱を付けるために彼は「助けが必要な人を助けなさい。人々と協力し、実際に助けを求めている又は助けが必要な人々を助けることでコミュニティとの信頼関係を築きなさい」と言いました。私達は、まだRPG IIIでコーディングしている人に出くわすことになるでしょう。彼らはRDiよりもSEUを使う方が速いので未だにSEUを使っています。彼らを納得させることはできません。しかし、RDi をインストールしたばかりで、本当にそれを使いたいと思っている人がすぐ隣にいます。誰を助けるつもりですか? あなたは助けを求めている人々を助けるつもりであり、私はこの報告書や他の人などの統計を引用し、やがては人々を楽にしようとただ売り込みを行おうとしているだけです。
チャーリー:面白い。あなたはこの放送の前に行った議論で興味深い点を指摘しました。それはオープンソースの潮流についてであり、より具体的には様々な異なる言語がどのように混じり合い、使われているかでした。メモによると、あなたがPython、Node、PHPという3つの特定のテクノロジーをどのように見分けたかについて話しています。システムの DevOpsにはPython、スタンドアロンの水平スケーリングにはNode、エンタープライズウェブにはPHPだと言っています。しかし、それら一式を実際に使用するように努力する必要がありますか? あなたがいつも取り上げるテーマが信条であることを知っています。私は1つの言語を使用していてこれで何でもできるという信条があります。用途で言語を使い分けることと信条とは互いに対立しませんか?
マイク:答えは場合によります。多くの組織、企業、業界を見渡して一般的な潮流を見ると平滑化要因が見え始めます。平滑化要因とは、もはや誰も1つの言語に居を定めないということです。遥か80年代、80年代初頭に遡って考えてもそうです。COBOLはビジネスの言語であり、これで議論は終わりでした。その頃は誰もその点について議論しませんでした。RPGはユーティリティ言語、またはフランク・ソルティス博士が好んで言ったようにマクロ言語として持ち込まれました。彼らはRPGとRPG IIについて話していませんでした。違いますか?
RPGが導入されたのは、COBOLで報告書を作成するのに時間がかかるからです。200 行のCOBOLコードを20行のRPGコードで書けました。それは生産性に関することでした。私はCOBOLで報告書を書く方が速いですが、RPGに慣れている人が居てRPG IIだった時代であれば、彼らは私よりも遥かに速いでしょう。私達が目にし始めているのは、遥か70年代、80年代に始まった場所であり、新しいことではありません。IBM iの顧客やRPG開発者のことはご存知でしょう。彼らは、何をすべきかを教えてくれた昔のIBM SEのことを覚えています。それがSEの仕事だったということです。その後、SEは居なくなりました。しかし、IBMが何をすべきかを指示し、手を差し伸べてくれるという考えを持っている人が世間にはまだいます。IBMは、もはやそのビジネスに携わっていないので、次に何をするべきか教えてはくれませんが、あなたが次にできることをすべて教えてくれます。
そして今、特にオープンソース周辺のDevOpsインフラストラクチャで最新のアプリケーション開発に取り掛かるとき、コードをどれだけ速く書けるかはもはや重要ではありません。自分の組織に持ち込み、迅速に実装してサポートできるコードが、オープンソース空間のどこにあるかが重要です。『我々はRPG利用組織、Java利用組織、または PHP利用組織である』という考えをご存知でしょう。それはもしかするとあなたの本業の60-80%に使用している原則かもしれませんが、現実にはおそらくそれ以外の言語も使用しているでしょう。例えば、IBM i利用組織はそれを当然のことと考えています。しかし、RPGは長い間私達の主力製品でした。これは主に、何年もの間実際には多くの選択肢がなかったからです。現在はオープンソースが登場し、IBM i利用組織は世の中のより純粋なオープン利用組織のいくつかと肩を並べるようになりました。純粋なオープンソース利用組織の好例としてNetflixを挙げたいと思います。彼らは、人々が見られるように実際にコードをネット上に公開している数少ない企業の 1 つです。つまり、彼らの実際のアプリケーションで使用するものはオープンソース空間にあります。そこを見ればNode.jsやPythonがそれぞれどのように使用されているかが分かります。彼らは様々な技術を使用しています。
チャーリー:それはすべて真実ですが、それはまだ世代的なものです。プロプライエタリシステム対オープンシステムという二分法的な心情は、まだ存在すると思います。もっと進歩的な人なら誰でも、両方を採用する必要があることを理解していると思います。しかし今日でも守りを固め、オープンソースを受け入れることを単に拒否する企業があります。そして彼らは、それを行うべきでない多くの理由、例えばセキュリティなどを並べ立てるでしょう。そのような反対意見にどのように対処しますか? 特にセキュリティに関しては長い議論になります。
IT人員不足問題
マイク:同意しますが、別の議論をさせてください。それを素早く終わらせて直ぐにセキュリティに戻ります。人員が不足している企業にはもっともな懸念があると思いませんか? これはIBM iに限ったことではありませんが、IBM iの分野で確かに多く見られます。これを学ぶ時間はありません。それを採用する時間もありません。オープンソースなどについて学ぶどころか、RDiを学ぶ時間すらありません。私は昨日の夕食会で1人の男の隣に座っていました。10年前彼のIT部門には15人いましたが、今は2人で、彼はPHPに関するプレゼンテーションを聞いています。彼は沢山の良い資料を手に入れていることを分かっており、彼の会社ではPHPを少し使っているのでそれを会社に持ち帰る必要があります。彼がPythonを採用する可能性はどのくらいでしょうか? 彼にはおそらく、1日の内でそのようなことをするためのサイクルがありません。人員配置もその一つだと思います。それは管理上の優先事項でもあります。
チャーリー:しかし、その問題は IBM i 使用組織に特有のものなのでしょうか? 私はそうは思いません。つまり、IT責任者や企業全般に対して、追加のリソースを雇う必要がないようにというプレッシャーが常にかかっているということです。これが私達の世界です。私達の世界はIBM iです。多分、これについて話すのが一番です。
マイク:まさにその通りですが、この痛みを感じている別の場所はマイクロソフト利用組織です。C#利用組織やVB利用組織などがあります。なぜなら、たった 1つの技術に腰を落ち着けた人々が限られたツールしか持っていないからです。オープンソース分野の人々、オープンソースと共に育ってきた人々、例えば私がPerforce社で一緒に働いている仲間がいます。彼はその世界で育ったので、技術について非常に柔軟です。彼は1つの技術に腰を落ち着けることはないという前提で成長してきました。複数の技術や複数の言語を社員が快適に使用できるようにするにはどうすればよいでしょうか。経営陣がそれを発見すると非常に迅速に対応すると言っておきましょう。RPGを使用してそれを成し遂げるには6か月かかります。しかし、オープンソースの人間は、それを3週間で完了できます。経営陣は、なぜ私達がRPGを見ているのかと訝しんでいる様です。RPGを過小評価しているわけではありません。私はオープンソースを選択肢の1つとして使用しています。それはPHP対Rubyまたはそれに類するものかもしれません。この種の会話は世の中のあちこちで行われていますが、オープンソースの世界では、『世界を再発明しない』という考え方があるのが現実です。他の場所からコードを取得し、コードを組み立てて、何度も微調整を繰り返します。
IBM iのセキュリティ神話
チャーリー:セキュリティに戻りましょう。繰り返しますが、セキュリティは十八番の言い訳だと思います。私自身十分な調査を行った結果、セキュリティはおそらく問題ではないと認識していますが、人々が古い偏見に固執しているため、それは依然として懸念事項です。
マイク:スティーブ・ピッチャーの言葉をそのまま繰り返します。あなたのIBM iとRPGはセキュアではありません。オープンソースがセキュアでないと泣き言を言っているのはなぜですか?なぜなら、彼はいつも自社のIBM iは安全で難攻不落だと考えるからです。この巻き添えを食うことはありません。私達がしなければならないことは、多かれ少なかれ他の何よりも安全であるという神話を取り除くことです。セキュリティは旅であり、目的地ではないことを理解する必要があります。RPGは多かれ少なかれ本質的にPythonよりも安全ではありません。
チャーリー:それはかなり大胆な声明です。
マイク:現在もしあなたがIBM i、あるいはもっと良いことにAS/400を動かしていてダム端末しかなく、それへのネットワークインターフェースがない場合、それは非常にセキュアです。ハッキングされることはありません。しかし、あなたはそれをしていません。
チャーリー:しかし、多くの人は、まだ彼らは安全であるという認識を持っています。
マイク:それが問題です。これは認識と現実の闘いです。世の中にこのことについて話し、IBM i が地球上で最も安全なプラットフォームであると過剰な自信を抱く人々を現実の世界に引き戻すスティーブ・ピッチャーのような人が必要です。
IBM i上のApacheサーバーは、隠れたオープンソースプロジェクトであり、IBMは常にそれを更新しています。どのように更新しますか?IBMはそれをPTFパッケージの一部にするだけなので簡単です。HTTPグループPTFを適用すると、Apacheのすべての更新が完了します。
V7R3を実行していて7年間PTFを適用していないユーザーは、オープンソースコードを更新していない他の誰かと同じように安全ではありません。
古い資産が転じて負債に
チャーリー:あなたは主にインフラストラクチャについて話しましたが、ビジネスアプリについての議論はあまり聞いたことがありません。それを基礎的な最重要部と呼ぶ人もいますが、本当の本格的バックエンドプロセスです。私はプロプライエタリという言葉が嫌いですが、それは依然としてそれらの言語の究極の到達域として保存されているのでしょうか? 完璧な世界で明日世界を再設計できるとしたら、それは、オープンソースがインフラストラクチャを処理し、プロプライエタリな周辺の顧客向けのいくつかのものとバックエンドの本格的な数学プロセスは、もしかするとCOBOL、RPGなどで処理するのですか?それとも、それらのいずれかですべてを行うことができますか?
マイク:それに対する答えは後者です。人々は自分が使いやすいものを使用するというのが現実です。人々は投資を活用したいと考えています。もしかすると、昔の投資が未だに活用できるIBM iプラットフォームの欠点かも知れません。企業は運用しているシステムに投資を行っていますよね?それは40年前のRPGかもしれませんし、15年前のPHPかもしれませんよね? そして、その投資から離れることは、費用がかかり、リスクがあり、時間がかかることを知っています。
チャーリー:愚かなことだと?
マイク:場合によりますが、愚かです。あなたが持っているシステムがあなたのビジネスに損害を与えているなら、それから離れなければなりません。あなたと私はそのことについて議論できるでしょう。
大きく変化したいくつかの業界について考えてみてください。私達は先週の会議で、ニュージャージー州の地方自治体の税システムの状況について話していました。今や彼らのシステムは負債になったのです。あなたは彼らの最大の資産を知っています。過去60年間のすべての投資は今や負債になります。一枚岩構造のシステムであったIRSシステムをご存じですか。10年前に彼らはそれを解体し始め、現在は140個の一枚岩構造のシステムです。システムが負債になる可能性があることは分かっていますが、それが依然として資産である場合、ビジネスロジックが資産であり、それがRPGならば私は前進するための梃入れは大歓迎です。私達は以前ハイブリッドクラウドの概念全体について話しましたが、IBMは数年前にようやくそれを理解したと思います。
資産がどこにあろうと活用し、その資産が負債になったときは、再び資産にするためにそれを交換する必要があります。一般的なオープンソースのトレンドで私達が見ているのは、企業や新興企業がすべてをオンラインで行っているということです。彼らは事実上すべてを行っています。すべてがSaaSです。彼らはもうオンプレミスのデータベースすら持っていないので、そもそもソフトウェアを購入するという考えは完全に馬鹿げています。もう誰も何も買いません。クラウドでOffice 365を使用しています。Googleドキュメントを使用しています。私達は、この他のすべてのものを使用しています。もう誰もソフトウェアにお金を払っていません。
チャーリー:それは本当ですか? 定期使用料を支払っていますよね。
マイク:それは場合によります。文字通り、Google上でビジネス全体を無料で運営できます。1円も支払う必要はありません。それが賢明な投資だとか、それが正しい道だと言っているわけではありませんが、従業員が3人のスタートアップの場合、必要なものはすべて無料版のGoogleドキュメントに含まれています。デスクトップが必要な場合は、冒険好きな人向けのLibreOfficeがあることをご存知でしょう。難しいことではありません。私は地元のコミュニティカレッジとの諮問電話会議で、Microsoft Office 365の新しいバージョンにはすべての新機能が搭載されることについて話しました。明らかに、あの新興企業の3人は、バックグラウンドがすべてMicrosoft Officeの場合、Office 365サブスクリプションを購入するでしょう。それが彼らの落ち着ける場所だからです。そこに彼らの経験と投資があります。しかし、若い世代は新しいテクノロジーを非常に喜んで受け入れていると思います。ですから、月に40ドル、50ドル、80ドル節約できれば、特にGoogleドキュメントに注目します。
偏見それとも信条?
チャーリー:ここでさらに大きな質問があります。私達の偏見が、実際オープンソースまたはプロプライエタリなどを使用するかどうかの決定や私達が仕事をしている会社に対し、どのように過度に影響を与えているかについて、私達は皆ある程度罪がありますか?
マイク:間違いありません。
チャーリー:私達は偏見を人々に押し付けており、おそらく人々にとって最善のことをしていないからです。
マイク:しなければならないのは、自分に少し緩みを与えることです。私は『あなたが正直である限り、信条はそれでいいと思う』という言葉に大いに賛同します。人々は私を会話に招待してくれます。彼らはオープンソースの支持者、IBM iの支持者などで、健全性についての話題になることを知っています。しかし、私はIBM iがすべてに対する唯一のソリューションであるなどと言うつもりはありません。特に今日、それは近視眼的だと思うからです。ですから、あなたがそれについて正直である限り、あなたがそれを認識している限り、信条は持つべき合理的なものだと思います。あなたはRPG IIIの開発者と会話し、彼らはRPG IIIが最高だと言います。少なくとも彼らがそれについて正直であれば、私は彼らを尊敬できます。私は彼らに同意しないかもしれませんし、彼らの立場を認める必要はありませんが、少なくとも彼らはそれについて正直です。『いいでしょう。それがあなたの信条です』というのが私の流儀です。オープンな視点からしなければならないことは、物事をより高いレベルから見ることです。会社が新しいCIOを迎え、IBM iからMicrosoftにすべてを移行しようとしているという話を聞いたとしましょう。それは正しい賢明な決定ですか? 私達はそれを分析しなければなりません。そうすれば、彼がしていることの理由がわかります。おそらく、この新しいCIOが過去20年間Microsoftテクノロジーを使用していて、うまく機能することを知っているので、すべてをマイクロソフトに移すつもりです。それが彼の信条だからです。それが賢明な投資になるかどうかは、10年後を見なければ分かりません。
グリーンスクリーンとウォーターフォール開発という負債
チャーリー:締めくくる前にもう1つ取り上げておきたいのは、負債と資産という2つのキーワードです。それはどちらの方向にも進む可能性がありますが、負債について話します。企業だけでなく人々そのものにも深く組み込まれているエンタープライズソリューションから逃れることは簡単ではありません。そして、これらの負債がいつまでも残る理由は理解できます。なぜなら、人々はそんなにすぐに切り替えたくないからです。資産についても同じことが言えます。どのような負債がありますか?負債だと判定する明確な定義があるのか、そしてこれが理由でシステムを切り替えるように主張したケースを教えてください。
マイク:私達全員が経験したと思うことを1つ提起します。グリーンスクリーンは負債だと言いたいです。
チャーリー:それは包括的な声明ですか?
マイク:ええ。 グリーンスクリーンは負債です。
マイク:今日、高校を卒業する人は、テキストインターフェイスを見たことがなく、プログラミングの授業を受けていない限り、コマンドラインが何であるかさえ知りません。あなたは直ぐにグリーンスクリーンにしがみつこうとします。今はタッチインターフェースがすべてなので、グラフィカルなタッチ指向のUIを開発していない場合は、グリーンスクリーン習得までの時間を認める必要があります。これを習得することが今でも組織の資産であると分かっているなら、それは素晴らしいことです。上司が「グリーンスクリーンの注文入力プログラムをウェブ上に置きたい」と言いますが、あなたと私はその種の提案を笑い飛ばし「答えはノーです。あなたは頭が変です」と答えます。しかし彼は「顧客に自社の品を注文させる必要がある。RPGとIBM iでそれを実行できるかな?」と言います。答えは「できます」ですが、そのためにIBM iとPHPを使用するか、Db2とNode.jsを使用する必要があるかもしれません。ウェブ開発にもっと適した技術が他にもあることはご存知でしょう。RPG/CGI は優れた技術で高速であり、IBM iでウェブ作業をもっと高速に実行する方法を見つけることはできません。しかし人的資源面はどうですか? RPG、既存のビジネスロジック、HTML、Javascript、ウェブ技術、ステートレス処理とステートフル処理のすべてを理解している人が必要です。それは1人の人間である必要があります。これが重要なシステムである場合は、バックアップ体制としてそのような人間が2人必要です。
チャーリー:あなたが説明したことは明らかに負債です。私の頭に浮かぶもう1つの債務は、これを来週の金曜日までに公開する必要があるというケースのことです。
マイク:あなたと議論していた別の話題の1つは、DevOpsなどの考えであり、企業はもはやウォーターフォール開発を行えないと気付くようにすることでした。それは大きな負債です。競合他社がアジャイルを行っている場合、彼らはアプリケーションセットに毎週、毎日、新しい機能を公開しています。アマゾンは圧倒的で、1日に3,500回も新機能を公開しています。あなたの会社はそれほど機敏である必要はありません。実際、私がIBM i利用企業と協力していて、彼らが毎週新しい機能を展開している場合、私はわくわくします。少なくともアジャイルの考え方全体に向かって道を進んでいます。そのシナリオでは、アプリケーション開発を負債ではなく資産に変えています。なぜなら、顧客にもっと迅速に対応できる人こそがビジネスを獲得できるからです。
チャーリー:分かりました。マイク、長時間どうもありがとう。
IBM iユーザーにとって、オープンソースは別世界あるいは無関係だと感じている方も未だ多いと思います。逆に、IBM iはITの潮流から取り残された古いマシンで、早急にオープンなプットフォームに移行しなければと焦りを感じている方もおられるかも知れません。結論を言えばそのどちらも誤りで、今やIBM iは昔のソフトウェア資産が活かせ、かつオープンソースの様々な恩恵も受けられるオープンなシステムです。このことを理解していただくために、今回はチャーリー・グアリーノ氏とマイク・パヴラック氏によるオープンソースに関する対談の抄訳をお届けします。(編集部)