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開発と開発環境のモダナイゼーション 開発と開発環境のモダナイゼーション
2024.04.30

【開発モダナイゼーション】第15回「Power上でDevOpsを利用する
‐IBM iでDevOpsを実現するための青写真‐」

【開発モダナイゼーション】第15回「Power上でDevOpsを利用する<br />‐IBM iでDevOpsを実現するための青写真‐」
【開発モダナイゼーション】第15回「Power上でDevOpsを利用する<br />‐ IBM iでDevOpsを実現するための青写真 ‐」

モダナイゼーションという言葉を聞くと、新しいプログラミング言語やテクノロジーを使ったプログラム構造の転換のことを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、モダナイゼーションの最終的な目標は、システムをビジネス環境の変化に迅速に対応させることであることを考えれば、開発環境や運用環境の効率化もモダナイゼーションの重要な対象であることはご理解いただけると思います。
今回は、開発、運用プロセスの1つの標準になりつつあるDevOpsとCI/CDをIBM iの世界に導入するためのステップについてご紹介します。(編集部)

Midrange Dynamics North America社のドナ・ウェストモアランド氏とサパン・シャー氏が、DevOpsフレームワークに移行する時の7つの共通課題とその克服法について解説します。

ドナ・ウェストモアランド & サパン・シャー

開発と運用の融合であるDevOpsは、より迅速な開発サイクル、シームレスな協力そして効率の改善を請け負いながら、ITの景色を新たにしました。しかし、その実装には困難が無い訳ではありません。DevOpsの力を十二分に利用するには時間がかかりますし、念入りな計画が必要です。

そのメリットは努力を払うに値します。組織はDevOpsとCI/CDパイプラインをそのプロセスに上手く構築し、メリットを享受しています。また、組織は準備されたプロセスに進むのに役に立つ価値ある教訓も実装中に学びました。ここで、DevOps戦略を実装する上であなたの役に立つ、課題や解決策と同時にいくつかの共通の考慮事項について述べます。

1. 1つですべては賄えない

DevOpsに関する主要な誤解の1つは、それが万能のアプローチであると信じることです。DevOpsは、それ1つですべてを解決できる訳ではありません。DevOpsは、自社の特定の要件と整合させなければならない一連のプロセスです。DevOpsが包括的戦略として役目を果たし、CI/CDパイプラインが自動化ツールとして動作するということを理解するのは、自分のニーズに合う様にDevOpsを調整するときの鍵です。方法論に馴染むことから始め、それがどのように自社の特定のビジネスに適用できるかを確認してください。最終目標の明確なビジョンを掴んだら、自分の組織特有の構造と目的に合わせるために、DevOps戦略をカスタマイズし適応させ始めます。

2. 目標を念頭に開始する

自分のチームとDevOpsについて話し始める際に、会社のために達成したいと考えている目標が分かっていることが重要です。ひとたび最終目標を理解したなら、実装プロセスを管理可能なステップに分割するのはとても容易です。すべてを一度に変えようとすると、壮大な失敗に陥り、チームは途方に暮れ、会社にメリットではなくむしろ害をなす時代遅れのプロセスに動きが取れなくなります。

DevOpsへの移行には革命ではなく進化が必要です。最終目標を知り、ステップを分解することは、重要な要素、痛点及びプロジェクトのコストを確認するのに役立ちます。目標を確認することで始まりを確認でき、基礎を構築し始めることができます。

チームに生産性向上ツールを与えるのは素晴らしい始め方です。この段階での目標は、明確でセキュアかつ繰り返し可能なプロセスで基礎を構築することです。ひとたびこのプロセスが整ったなら、その上に構築し始め、更なる自動化、アプリケーション統合、そして最終的に完全なCI/CDパイプラインの採用に向けて進化することができます。ですから、開始場所を見つけ、長い時間をかけて進化できるように頑丈な基礎を築くために目標に集中してください。

3. 正しいツールを選ぶ

DevOpsとCI/CDパイプラインを成功裡に実装するには正しいツールを選ぶことが重要です。誤ったツールは、実装が始まる前ですらそれを台無しにします。自社の特定のアプリケーションとプラットフォーム用に合わせて調整できるツールを評価し、選択してください。多岐に渡るテクノロジーに跨がったスムーズな作業の流れを保証するために、異なるツールに適応可能な柔軟なパイプラインを探してください。

何はさておき、徹底した調査を行ってください。DevOpsソフトウェアツールを導入した参考企業及び現在のユーザー達と話をし、彼らの経験を学んでください。ベンダーを選択する場合、その会社が製品に対する彼らの主張を裏付けるために概念実証を行う用意があるかを尋ねてください。ソフトウェアツールの会社と提携していないSME(対象分野の専門家)にも、IBM i上で利用可能な最善のDevOpsツールについて相談するべきです。正しいツールはDevOpsの実践の効率と効果を大幅に向上させますから、これはプロセスの中で不可欠だということを忘れないでください。

4. IBM i上のDevOpsを極める

IBM i上のDevOpsの強みと微妙な差異を理解することは重要です。他のプラットフォーム上のDevOpsの方法論とは違って見えますし、異なるアプローチが必要であることをIBM iを良く知らない人達に対して説明するのは難しい可能性があります。チームに対する包括的な訓練と教育に投資することは重要です。追加の訓練をすることで、チームは最新情報を維持しIBM iの強みとメリットをもっとうまく説明することができます。ビジネスアナリスト及び/またはSMEの参画は計り知れない程貴重です。SMEはあなたのガイドとして活動し、DevOps戦略とビジネス目標を整合させる洞察を提供するでしょう。実装プロセスにそれらを含めることで、DevOpsの実践が組織全体の目標と確実に調和します。

5. コミュニケーションギャップの橋渡しをする

DevOpsを実装する上で最も大きな障害の1つは、コミュニケーション不足です。鍵となるのは、プロジェクトを導くのに役立てるために、SMEだけでなく各部門から代表者を引き込むことです。明確なバックログを確立し、コミュニケーションルートを開くことは、全てのチームメンバーがプロセスの様々な段階と要件を確実に理解するのに役立ちます。

複数のプラットフォーム上のアプリケーションに跨る変更を調整するのは複雑である可能性があります。ですからコミュニケーションが鍵になるでしょう。チームの全員が、様々なプラットフォーム上のアプリケーション間の相互依存性を理解し、まとまりのある開発環境を助長し、自動化を成し遂げる必要があります。とりわけ自動化によって、様々なプラットフォームに跨る変更をシームレスに統合する統一パイプラインを実装することができます。また、適切に自動化することはコミュニケーションギャップを橋渡しするのに役立ち、結果的に貴重な時間が節約されます。

6. 開発者への遅れに対処する

開発者は、しばしばプロジェクトがテストされている間長時間待たされたままにされることがあります。このことは、彼らの仕事の流れを中断させ、プロジェクトの間を行ったり来たりさせられるときに不快感を与える可能性があります。これをDevOps戦略の実装と堅牢なCI/CDパイプラインの構築によって回避できる可能性があります。

CI/CDパイプラインは、開発、テスト、配備プロセスを自動化し、開発者のために大幅に待ち時間を減らし、継続的で効率化されたワークフローを確かなものにします。現行のプロセスの最初から始め、開発チームにとって生産的なツールを提供するための方法を探してください。これには、素早く正確な分析を可能にするための優れた相互参照情報、ならびにパイプラインの進み具合に応じて優れたテストを設定するための基礎が含まれます。複数の製品への情報または承認要求の入力のような繰り返し作業を減らしてください。CI/CDパイプラインのための構成要素が得られるように、選択したツールが確実に相互に通信できるようにしてください。

7. コンプライアンスと監査の要件

監査とコンプライアンス標準を満たすことに関しては交渉の余地はありません。確実にルールを明確に定義するために、監査人を最初から関与させてください。内部監査部門は、社内のDevOps実装の欠かせない部分を担う可能性があります。実装時に行ったあらゆる選択は、コンプライアンスを確実なものにしてリスクを減らすために、監査要件と整合的である必要があります。

一歩間違えれば、大惨事を招く恐れがあります。プロジェクトの後半まで監査の導入を待つならば、大量の作業を破棄またはやり直ししなければならないかも知れません。賢く、最初の最初から彼等を参加させ、あなた及びチームが必要としているものを正確に判断できるようにしてください。そこから最終目標を視覚化し、最初のステップを見つけ出し、そして成功への青写真となる基礎を確立することができます。

DevOpsは前進への道

DevOpsの採用は単なる技術的な転換ではありません。それは、協力、コミュニケーション、そして継続的な改善を必要とする文化的な変革です。これらの課題に取り組み、正しい戦略を実装することで、IT専門家は自社のIBM iの世界においてDevOpsの力を活用するために環境をうまく発展させる事ができます。カスタマイゼーション、効率的コミュニケーション、適切なツール、そしてコンプライアンス遵守がDevOpsの実装成功の大黒柱を成します。この青写真に従ってください、そうすればDevOpsは組織の比類なき効率化、革新、そして成功を推進するでしょう。

著者紹介

ドナ・ウェストモアランド: Midrange Dynamics North America社、最高技術幹部

ドナはMidrange Dynamics North America社のCTOで、25年以上に渡るIBMミッドレンジシステムの経験を有しており、一貫したソフトウェア変更方法論を支援しています。数百の企業でアプリケーションモダナイゼーションを含む主要なプロジェクトを主導した経験から、開発ニーズ、監査要件及びテスト原則について包括的な視点を有しています。

サパン・シャー: Midrange Dynamics North America社、実装スペシャリスト

サパン氏は、優秀なIT専門家として25年以上に渡る実績のある専門知識を有しています。彼の専門は、ソリューションアーキテクチャ、ソフトウェア開発、顧客関係管理、プログラムと変更管理、そして組織開発です。彼は、協力的で包容力があり、向上心に燃えるチームを構築することで評価されており、変化するコンプライアンス基準及び会社の方向性に適応する能力でも知られています。

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