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2026.05.27

IBM iのAIの活用における優位性を支えるもの

IBM iのAIの活用における優位性を支えるもの

今回は、今年4月に行われたPOWERupカンファレンスにおいて、IBM i CTOのスティーブ・ウィル氏、IBM Powerゼネラルマネージャーのヒラリー・ハンター氏およびProfound Logic社の製品管理バイスプレジデントであるブライアン・メイ氏が行った発言および彼らへのインタビューから見えてくる、AIの活用におけるIBM iの優位性に関する記事をお届けします。(編集部)

2026年5月18日 アンドリュー・ウィグ

IBM iのコミュニティーは、まさにAI競争に参入したばかりですが、正しい選択をしたと考えています。

先月ニューオーリンズで開催されたPOWERUpカンファレンスの参加者が、セッションと展示会場で必ず直面したのはAIに関する話題でした。実際、IBM iのCTOであるスティーブ・ウィル氏は、「AIはIBM iのエコシステムにとても深く浸透しているので、IBM iを使用している企業は、積極的に選択するかどうかに関わらず、AIを利用することになるでしょう。」とPOWERUpカンファレンスを振り返りながら語りました。

「展示会場に出展しているあらゆるベンダーの全てのツールやソリューションにAIが組み込まれていました。」と、スティーブ・ウィル氏はTechChannelのインタビューで語りました。「ですから、IBM iの顧客は、ベンダー製のツールを使えば、おのずとAIの価値を得ることになるということです。」

IBM iの関係者は、システム固有の特性だけでなく、使用している企業や技術者のタイプという観点からも、IBM iが現在のAIブームを最大限に活用するための十分な機能を備えていると主張しています。

統合アーキテクチャーが完全なAIデータセットをサポート

Profound Logic社の主席テクノロジー・エバンジェリストであるブライアン・メイ氏は、「IBM iというプラットフォームは、他のプラットフォームに比べて緩やかに変化する傾向があります。そして、AIプロジェクトの成否がデータの深さに左右されることが認識されるにつれて、IBM iの継続性が現在大きな効果を生んでいる可能性があります。」と述べました。
ブライアン・メイ氏は、後日、顧客向けにリリースされることになるProfound Logic社独自の内部エージェント型コーディングアシスタント製品であるCoderFlowを使用した際に、IBM iの優れたAI能力を直接体験しました。

ブライアン・メイ氏は、TechChannelのインタビューで「優れた分析とAIを手に入れる鍵は、実際に推論が行えるだけの十分なデータを持っていることです。そして、IBM iを使用している企業が持っているものがあるとすれば、それはデータです。多くの場合、40年分の価値あるデータが、活用されるのを待ちながら、Db2 for iに格納されているのです。」 と語りました。

「IBM iの統合的な性質により、IBM iを使用している企業は常にデータを収集しています。」とスティーブ・ウィル氏は指摘しました。「一方、分散プラットフォームを使用している企業は、サイロに分散したデータを扱っている可能性があります。場合によっては、そもそもデータを収集していない可能性もあります。恐らくは、分散プラットフォームのOSはデータ収集に関与しておらず、データを収集するためのツールを誰も設定していないからかもしれません。」と同氏は付け加えました。

収集されているデータの中には、プラットフォームのパフォーマンス管理を重視する一環として、IBM iが自動的に保管するパフォーマンス・データなど、システム自体に関するデータが含まれています。このような履歴データは全て、AIを活用したパフォーマンス管理ツールで活用できるとスティーブ・ウィル氏は指摘します。

「簡単に言えば、IBM iのアーキテクチャーは、データやシステムコンポーネントとの格闘を最小限に抑制します。」とスティーブ・ウィル氏は説明します。「IBM iのアーキテクチャーは、AIが使用するデータだけでなく、AIの背後にある保護や管理など、AIが必要とするものの多くを保管の対象にしています。」と同氏は言います。

POWERUpカンファレンスのオープニングセッションで、IBM Powerのゼネラルマネージャーであるヒラリー・ハンター氏は、AIプラットフォームとしてのIBM iの優位性を彼女の講演の中心テーマに据えました。「エンドツーエンドで統合されているシステムは他にほとんどありません。」と彼女は述べ、分散プラットフォームを利用する大企業が直面する課題と対比させました。

ヒラリー・ハンター氏は、「分散プラットフォームを使用している企業や組織はAIの基盤をゼロから構築する必要があり、
『データレイクをどこに設置するのか? どのデータウェアハウスを使用するべきか? ガバナンス・ソリューションはどうするか? それら全てを統合するミドルウェアとして何を使用するのか?』
といった一連の問いに答えなければなりません。」と指摘しました。

一方、IBM iでは「全ての構成要素が効率的に事前定義され、パッケージ化されており、すぐに使用できる状態になっています」とヒラリー・ハンター氏は述べました。

中小企業はAI導入の準備が完了している

大企業はAIプロジェクトから投資対効果(ROI)を得るのに苦労し続けています。対照的に、IBM iを使用している企業は、今まさにチャンスをつかむ準備ができていると言えるでしょう。

「業界最速のペースで前進できる極めて独特な機会があります」とヒラリー・ハンター氏は述べました。「IBM iならそれが実現できると心から信じています。なぜなら、エンドツーエンドで統合されたシステムは他にほとんど存在しないからです。」

IBM iを使用している企業が迅速にAIを導入できる理由は、プラットフォームそのものに限った話ではありません。IBM iを使用する傾向のある企業の種類も関係しています。IBM iは、大小さまざまな企業や組織で導入されていますが、特に中小企業(SMB)向けの包括的なコンピューティング基盤として最もよく知られています。

大規模な企業や組織は、AIを全社的に展開するための大規模なインフラストラクチャーを持っています。技術的な課題は、データ断片化など数多くありますが、最終的にAI導入の成否を左右するのは、企業における官僚主義的な問題が関係している可能性があります。

「タイヤショップのオーナーや、図書館、保安官事務所であれば、実現したい具体的な課題は1つか2つであり、それらは比較的早期に実行に移せるため、すぐに価値を享受できるはずです。」とスティーブ・ウィル氏は語りました。「しかし、規模の大きな企業であれば、誰と話ができるか、各部署がどのように連携していくかなど、恐らくさまざまなルールがあるでしょう。そのような状況が、大企業におけるAI導入で、長時間を要する理由となる可能性があります。」

IBM iを利用する一般的な中小企業は、規模に見合った形でAIから多くの利益を得られる可能性があります。一方、大規模な組織では、パイロット版のAIシステムから初期段階は有望な結果が得られるものの、本番環境に導入しようとすると、進捗の鈍化や完全な停止に陥ることがあります。このような状況では、AIは企業の戦力を増強するものではなく、むしろ、複雑さを増大させる要因になります。

IBM iを利用している一般的な中小企業は、大企業のような規模の大きさに起因する課題に直面することはありません。中小企業は大企業のように迅速に人員を増やせないかもしれませんが、AIソリューションの導入と展開においては、大企業を打ち負かすのに十分な機敏さを持っている可能性があります。

「当社の中小企業のお客様は、最も大きなメリットを得られる可能性が高いと考えています。なぜなら、中小企業のほとんどは少人数の社員で運営しており、IBM iのようなテクノロジーを活用することで、人員を増やさずに事業規模を拡大できるからです。」とブライアン・メイ氏は語りました。

スティーブ・ウィル氏は「中小企業がその一歩を踏み出せば、巨大企業よりもずっと早く目標に到達し、速やかに結果を手にすると思います。」 と付け加えました。

IBM iに特化したAI支援による開発

自社にAIを導入したいと考えている企業にとっての選択肢の1つが、AI搭載の新たな「開発パートナー」である「IBM Bob」です。プラットフォームに依存しないIBM Bobは、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を支援する設計になっています。そして、今年(2026年)の第2四半期に出荷が予定されているIBM i向けのプレミアムパッケージがリリースされれば、IBM iユーザーにとって更に有用性が増すでしょう。

IBM Bob Premium Package for iにより、IBM BobはIBM iのファイルシステムに直接アクセスできるようになります。すなわち、開発者がネイティブのIBM i環境との間でソースコードをコピーしたり戻したりする必要がなくなります。これにより、IBM i独自のソースメンバー構造に慣れている企業にとっての負担が1つ解消されるでしょう、とスティーブ・ウィル氏は説明しました。

IBM Bob Premium Package for iには、IBM i向けに特別に調整されたプロンプト支援機能も含まれます。スティーブ・ウィル氏によると、プロンプト支援機能によって効率を高めることは、AIのトークン(Bobcoins)のコストの節約に役立つことになります。

IBM Bobは、数十年も前のコードに下手に手を加えることに対するIBM i利用企業のためらいを軽減する効果もあると、ヒラリー・ハンター氏は述べました。IBM Bobの目標は、「『塩漬けにしてきたコード』、『RPG IIやIIIで記述されたコード』、『データアクセス方式が最新ではない』という恐怖要因を、IBM iの関係者から取り除くことです。」と彼女は説明しました。

ISV(独立系ソフトウェアベンダー)もIBM Bobを活用し、独自のAIツールを製品に統合しています。たとえば、Profound Logic社のAIコーディングアシスタント製品であるCoderFlowは、IBM BobあるいはClaude、Gemini、ChatGPTなどの、企業が選択した大規模言語モデルの上に構築できるエージェント層であると、ブライアン・メイ氏は説明しました。

スティーブ・ウィル氏は、「IBM Bobの開発中に、ソリューション・プロバイダーが自社製品の基盤としてIBM Bobを使用する方法を見つけるだろうと確信していました。」と述べました。「特に、コード開発、ソフトウェア開発ライフサイクル関係、モダナイゼーションに携わる人々は、IBM Bobを観察し、それが基盤製品としてどのような機能を持つのかを理解し、どのようなことであれ、ソフトウェア開発ライフサイクル内で行っている事の具体的な特色を含められるようにIBM Bobを拡張する方法を見つけ出してきました。」とスティーブ・ウィル氏は語りました。

AIへの準備ができている技術者

IBM iを使用している企業がAI優位性を持っているとするならば、それはプラットフォームそのものだけではなく、プラットフォームを動かしている人々に起因しています。

IBM iの開発者は、他の開発者よりも長く、自分たちのプラットフォームであるIBM iを使い続ける傾向があるとブライアン・メイ氏は言います。特定のIT環境に関与するほど、その環境についての知識が深まり、AI向けのプロンプトを作るときに役に立つコンテキストが得られます。

しかし、重要なのはシステムの知識だけではありません。ビジネスの知識も重要であり、IBM iの開発者はビジネス知識を吸収できる独自の立場にあります。

大半のプラットフォームでは、開発者は技術的な専門分野に特化している傾向がありますが、IBM iの場合は異なります。特に小さな企業では開発者が多くの役割を担うことがあるとブライアン・メイ氏は言います。そうした技術者は単にコードを書くだけでなく、業務運営の組織的記憶(*)も持っています。

*組織的記憶(institutional memory):
組織などが過去の出来事を通じて蓄積した知識、経験、慣行、情報の集合体。この記憶は、新しいメンバーやリーダーが活用することで、業務の効率化や意思決定の質向上に役立つ。(出典:Goong.com)

「IBM iの世界では、皆さんはRPG開発者やCOBOL開発者ではなく、実際にはビジネスアナリストなのです。」とブライアン・メイ氏は語りました。「皆さんは、ビジネスが実際にどのように機能しているかについての暗黙知を持っています。そして、AIソリューションを構築する局面では、皆さんの知識は非常に価値があります。皆さんの頭の中にあるコンテキストや理解をプロンプトに追加することで、AIから得られる結果は格段に良くなります。」

また、IBM iの開発者は、ビジネス面に注力する時間を持てるようになる可能性もあります。ブライアン・メイ氏は、IBM iのプログラムでは他のプラットフォームのプログラムと比べると手間のかかる管理や問題解決に追われることが少なくなる、と指摘します。「それにより、ビジネス面にももう少し深く関わる機会が得られます。」

ヒラリー・ハンター氏はPOWERUpカンファレンスで、会場を埋め尽くしたIBM iユーザーに向かって「皆さんはすでにAIに対応したプラットフォームを所有しています。重要なのは、それをどう活用するかです。」と語りました。

関連情報


本記事は、TechChannelの許可を得て「IBM i’s AI Advantage: The Ecosystem Stakes a Claim」(2026年5月18日公開)を翻訳し、日本の読者に必要な情報だけを分かりやすく伝えるために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。

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