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2024.12.02
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サステナブルに取り組むための課題と企業に求められる責任

サステナブルに取り組むための課題と企業に求められる責任

 

Sustainable(持続可能な)という言葉はここ数年、特にクローズアップされてきている経済用語であると同時に、企業が環境、社会、経済の側面で責任を果たすために重要なキーワードとなります。
では、具体的にどのような要素が求められるのでしょう?

1.環境への責任

最初に挙げられるのは環境への責任です。3つの項目があります。

  • 温室効果ガスの排出削減:カーボンフットプリントを削減し、気候変動に対処するための取り組みが必要です。再生可能エネルギーの採用やエネルギー効率の向上などが含まれます。
  • 持続可能なリソース管理:自然資源の適切な利用と廃棄物の最小化に注力し、生態系に与える影響を最小限に抑えます。
  • サプライチェーンの管理:サプライヤーとの協力を通じて、サプライチェーン全体で環境に対する貢献を確保します。

2.社会への貢献

次に社会への貢献です。2つの項目があります。

  • 従業員の幸福と多様性:健康で安全な職場環境を提供し、多様性と包摂(インクルージョン)を促進します。従業員のスキル開発と福祉に投資します。
  • 社会貢献活動:地域コミュニティーへの投資や支援活動を通じて、社会的な貢献を実現します。地域のニーズに応じた取り組みが求められます。

3.経済的な持続可能性

3つめは経済的な持続可能性です。ここでは革新的なテクノロジーの採用にも焦点が当たります。

  • 長期的な視点:短期的な利益追求ではなく、長期的な価値創造に焦点を当てます。持続可能なビジネスモデルを構築し、投資家との信頼関係を築きます。
  • 革新と競争力:新たな技術やイノベーションを活用し、競争力を維持・強化します。サーキュラーエコノミーやクリーンテクノロジーの導入が含まれます。

4.透明性と報告

4つめは透明性と報告です。

  • ESG報告:環境、社会、ガバナンスのパフォーマンスを透明に報告し、ステークホルダーとのコミュニケーションを強化します。持続可能性報告(ESG報告)は、企業の透明性を高めます。
  • ステークホルダーとの対話:投資家、顧客、従業員、政府、NGOなど、幅広いステークホルダーとの対話を通じて期待を理解し、協力関係を築きます。

5.組織文化とリーダーシップ

最後が組織文化とリーダーシップになります。

  • サステナビリティの組織内浸透:サステナビリティを組織文化の一部として確立し、全ての従業員の参加を促進します。
  • サステナビリティへのコミットメント:地域コミュニティーへの投資や支援活動を通じて、社会的な貢献を実現します。地域のニーズに応じた取り組みが求められます。

サステナブルな経営は、企業が長期的な成功を確保し、環境、社会、経済の課題に対処し、持続可能な未来を構築するための手段として不可欠です。これらの要素を組み合わせて、企業は責任あるビジネス実践を推進し、競争力を高めることができます。

SDGs/ESG/ネットゼロとは? ネットゼロに取り組むための背景と課題

ここで少し話題を変えて、サステナブルで取り上げられる用語について、少し解説します。経営に携わる皆様は、ここ数年、メディアでSDGs/ESG/ネットゼロといった用語を目にするされる機会が増えていると思います。SDGs(Sustainable Development Goals)、ESG(Environmental, Social, and Governance)、およびネットゼロ(Net Zero)は、持続可能なビジネス実践を理解し、実施するために密接に関連しています。今回はSDGs、ESG、ネットゼロの意味と、今後ネットゼロに取り組んでいくために知っておくべき背景と課題についてご説明します。

SDGsとは何か?

SDGsは国際連合が採択した17の目標からなる持続可能な開発目標の枠組みです。これらの目標は、2030年までに貧困削減、地球環境の保護、社会的な不平等の解消など、持続可能な未来を構築するためのグローバルなビジョンを提供します。

ESGとは何か?

ESGは、Environmental(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の略語です。これらの要素は、企業の持続可能なビジネス実践において重要な役割を果たします。具体的に、環境への責任、社会への貢献、企業統治の健全性に焦点を当てています。

ネットゼロとは何か?

ネットゼロは、企業が自社の温室効果ガス(GHG)排出を削減し、残りの排出を吸収または補完して、最終的に排出ゼロを達成することを指します。これは気候変動対策の一環であり、パリ協定の目標を達成するために採用されています。



これらの概念は相互に補完し合い、以下のように関連しています。


SDGsとESGの関係

SDGsは持続可能な開発に向けた国際的な目標であり、企業はこれらの目標を達成するためにESGの原則を採用し、実践する必要があります。たとえば、SDGsの中には環境保護や社会的な不平等の解消といった要素が含まれており、これらの目標の達成にはESGの考え方が重要です。

SDGsとネットゼロの関係

ネットゼロの目標は、気候変動に対処するために設定されており、SDGsの一部である「気候行動」(Goal 13)と密接に関連しています。ネットゼロの取り組みは、SDGsの気候変動に関連する目標を達成するための具体的な手段として位置づけられています。

ESGとネットゼロの関係

ネットゼロの達成には、環境への責任(ESGの一部)、特にGHG排出の削減が不可欠です。また、ネットゼロは企業統治の健全性(ESGの一部)を強化し、持続可能な経営への移行を推進します。

企業は、SDGsを基盤にしてESGの原則を組織内に統合し、ネットゼロの取り組みを通じて、環境への貢献や社会的な課題に対処することが求められます。これらの取り組みは、企業の長期的な競争力を向上させ、持続可能なビジネスモデルを構築するための鍵となります。



ここまではSDGs、ESG、ネットゼロの意味とそれぞれの関係について解説してきました。
次は最近、欧州向け以外のサプライチェーンでも対応が求められるようになり、その影響が拡大しているネットゼロについて、さらに詳しく見てみます。
ネットゼロに対応するため、企業が取り組む必要のある課題とその背景を考察してみましょう。


温室効果ガス排出削減

  • 背景:気候変動は環境、経済、社会に深刻な影響を及ぼし、企業の気候変動への貢献が問題視されています。国際的な合意であるパリ協定に基づき、産業革命以前に比べて気温上昇を1.5°C以下に抑えるためにGHGの排出を削減する必要があります。
  • 課題:GHG排出の削減戦略の策定、再生可能エネルギーの採用、エネルギー効率の向上、サプライチェーンのGHG排出の管理などが必要です。

サプライチェーンの持続可能性

  • 背景:多くの企業のGHG排出は、サプライチェーンに関連しています。サプライヤーとの連携を強化し、サプライチェーン全体で持続可能性を実現することが重要です。
  • 課題:サプライヤーの排出削減要件の設定、サプライヤー評価の実施、サプライチェーンの透明性向上などが求められます。

イノベーションと研究開発

  • 背景:ネットゼロを実現するためには、新たな技術やイノベーションが必要です。エネルギー効率の向上やカーボンキャプチャーテクノロジーの開発が必要です。
  • 課題:研究開発への投資、イノベーションの促進、新技術の採用に向けた戦略の策定などが求められます。

ステークホルダーとのコミュニケーション

  • 背景:ネットゼロへの移行には、投資家、顧客、従業員、政府、NGOなどの幅広いステークホルダーとの協力とコミュニケーションが必要です。
  • 課題:ステークホルダーとの連携強化、透明性の確保、ネットゼロへの進捗状況の報告などが必要です。


いかがでしょう。ネットゼロへの取り組みは、気候変動への対処、競争力の向上、リスク軽減、新たなビジネス機会の創出など多くの利点をもたらします。しかし、これらの課題に取り組むためには組織全体でのコミットメントが不可欠であり、長期的な視点と戦略が必要です。ネットゼロは、企業が持続可能な未来を構築し、社会的責任を果たすための鍵となる取り組みです。

次回記事 ネットゼロの実現に向けて企業に求められる対応では、このネットゼロに取り組むためのプラットフォームに焦点を当てて考察してみたいと思います。

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