発射管制システムの中核はIBM Powerサーバー
Linkedinユーザーの中には、以下の投稿や、以下を引用した投稿をご覧になった方がいらっしゃるかもしれません。
この「IBM Hybrid Cloud and Infrastructure」ページの投稿で紹介されているのは、53年ぶりの有人月周回に成功したアルテミスIIのミッションでIBM Powerサーバーが果たした役割です。
投稿文を日本語に翻訳すると、以下のような感じでしょうか。
公式カウントダウンの開始からヒューストンのミッション・コントロールセンターに指揮が移るまでの間、打ち上げディレクターであるチャーリー・ブラックウェル=トンプソン氏の指揮下で、打ち上げの可否を決定する温度、風、雲量、ロケットの全体状態などの要素が含まれる一連の詳細ルールに基づき、IBM Powerサーバーは発射管制センターにおけるデータ処理・監視を支えたのです。
再生位置 1分9秒でスピーチをしているのがチャーリー・ブラックウェル=トンプソン氏
フライト・コンピューターは、IBM PowerPC 750FXを搭載
COMPUTER WORLDの記事『The Orion spacecraft is no smarter than your phone』によると、アルテミスIIで飛行したオリオン宇宙船が使用しているフライト・コンピューターは、POWERプロセッサーの系譜に連なるIBM PowerPC 750FXを搭載しています。
このIBM PowerPC 750FXが発売されたのは2002年で、同時期のIBM POWERプロセッサーは2001年発売のPOWER4です。IBM PowerPC 750FXは改めて述べるまでもなく古いプロセッサーではありますが、BAE SystemsのRAD750(IBM PowerPC 750がベース)と同様に高い放射線耐性を持っています。
ちなみにBAE SystemsのRAD750は、2012年に火星に着陸して2026年の現在も活動を続けている探査機『キュリオシティ』を筆頭に、2018年に運用を終了した『ケプラー宇宙望遠鏡』、2018年から2022年まで火星で活動した探査機『インサイト』、2026年現在も太陽観測の主軸として機能している観測衛星の『ソーラーダイナミクス天文台』、ガンマ線観測用の天文衛星『フェルミガンマ線宇宙望遠鏡』など、多くの宇宙船や探査機、人工衛星に搭載されています。
新たなプロセッサーが登場しつづける状況下にあって、IBM PowerPC 750FXやRAD750が使われ続けているのは、宇宙探査ではスピードや性能よりも「常に動作し続ける」ための頑丈さと信頼性が重視されるからです。
今回、アルテミスIIで飛行したオリオン宇宙船がIBM PowerPC 750FXを搭載しているように、IBM POWERアーキテクチャーの系譜に連なるプロセッサーを搭載するシステムは、限られた電力量で最大限のコンピューティング能力の発揮が求められる宇宙で活躍しています。
そう、「最後のフロンティア」として語られる宇宙探査に、IBM POWERは貢献しているのです。
筆者
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株式会社イグアス |













IBM Powerサーバーは、NASAのケネディ宇宙センターにあるアルテミスIIの発射管制システムの中核として稼働していました。発射管制システムは、ロケットおよび宇宙船のテレメトリ、センサー、システム全体の健全性に関連する数十万ものデータポイントを処理・監視しました。
初期のテストから最後のT-10カウントダウンまで、IBM Powerサーバーは想定範囲外のデータをエンジニアが迅速に特定できるように支援しました。このような洞察により、確信を持って意思決定を行うことが可能となり、打ち上げ作業を円滑に進めることができたのです。