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IBM i 7.5 TR8/7.6 TR2、「ゼロダウンタイム」実現へ前進~コミュニティーの声が導く次世代IBM i

IBM i 7.5 TR8/7.6 TR2、「ゼロダウンタイム」実現へ前進~コミュニティーの声が導く次世代IBM i

2026年7月28日 アンドリュー・ウィッグ

IBM iは先日、バージョン7.5および7.6向けの最新Technology Refresh(TR)をリリースしました。今回のアップデートは、システム停止を極小化し、“計画的ダウンタイムゼロ”の実現に向けた取り組みを一段と前進させるものとなっています。

最新のOSアップグレードのハイライトとしては、Migrate While Activeの機能拡張に加え、データの可視性向上やセキュリティー強化などがあり、これらユーザー企業の要求を的確に反映するうえで、IBM iコミュニティが中核的な役割を果たしています。

特に記載がない限り、以下の強化はIBM i 7.5 TR8およびIBM i 7.6 TR2の7月24日リリースで提供されています。

目次

パーティションミラーリング

IBM i 7.6 TR2では、パーティションミラーリングがMigrate While Activeで利用可能となり、これにより現行のすべてのIBM iリリースで同機能が利用できるようになりました。パーティションミラーリングは、1年前にバージョン7.4で提供が開始され、その後11月に7.5へと拡張、そして今回7.6にも対応した形となっています。

パーティションミラーリングはMigrate While Activeの重要な構成要素であり、ストレージベースのレプリケーションを必要とせずにTCP/IPネットワーク上で本番システムの同期コピーを作成できます。

TCP/IPネットワークのシンプルさからパーティションミラーリングは「移行に非常に便利なツール」と、現IBM iチーフエンジニアで間もなくチーフアーキテクトとなるKris Whitney氏は述べています。

IBM i 7.6 TR2の発表レターでは「この機能は、異なるデータセンターへの移行や、直接的なストレージ移行が不可能な新しいIBM Powerサーバーへの移行において特に有用である」と紹介されています。

移行とOSアップグレードを同時に実施

Migrate While Activeのもうひとつの新機能として、OSアップグレードと移行をまとめて行うことができるようになりました。これにより、計画されたダウンタイムを大幅に短縮することが可能です。

この機能は、まずシステムの完全なコピーを作成することから始まります。コピーの作成後は、ソース側で発生するすべての変更をトラッキングします。その間、ターゲット側のノードに切り替えてアップグレード作業を実行します。

最終的なカットオーバーは就業時間中に行うことも可能ですが、最後の切り替え作業にはシステムの一時停止が必要となるので、週末にスケジュールするのがよいだろうと前出のKris Whitney氏は述べています。

監査記録の可視化

今回の機能強化には、システムのアクティビティー可視化を高めるための改良が複数含まれており、その一つとしてCREATE_DATA_JOURNAL_READERが新たに導入されました。

CREATE_DATA_JOURNAL_READERは、特定のジャーナル・エントリーを対象に、カスタムのテーブル関数を生成できます。

従来のデータジャーナルは、データベースへの挿入・更新・削除のたびに重要なログを記録するものの、その内容は必ずしも読みやすいとは言えない――と、IBM iの上級技術スタッフであり、IBM i World 2026でも講演したScott Forstie氏は指摘します。

「これらのジャーナル・エントリーを見ても、行イメージの内容を理解し、それを活用するのは非常に難しいのです。エントリー固有のデータが16進数(hex形式)で格納されているためです。正直、扱いにくいですね」と同氏は述べています。

「CREATE_DATA_JOURNAL_READERは、任意のテーブルを対象に、データジャーナルの内容を理解するための補助的なテーブルを自動生成してくれます。」

脆弱性の可視化強化

セキュリティーは最新のIBM i Technology Refreshの主要なテーマでした。「セキュリティー、セキュリティー、セキュリティー。誰もがセキュリティーについて話しています。」とForstie氏は語ります。

こうした流れを受け、新たに提供されるCVE_INFO サービスにより、管理者は自社のIBM i環境に影響する共通脆弱性識別子(CVE)を直接可視化できるようになりました。本機能はSYSTOOLSスキーマ内で提供され、OSのリリースレベルに応じたフィルタリングにも対応しています。これにより、脆弱性データに基づくより的確なアップグレード判断が可能になります。

「これは個人的にも注力してきたテーマであり、SQL関数やRESTfulサービスの機能を活用して、IBM iに関するCVEをより簡単に把握できる方法を模索してきました」とForstie氏は述べています。「7月24日以降は、このテーブル関数にクエリーを実行することで、『現在利用しているIBM iに関連するCVEが公開されているか』を確認できるようになります。いわば、CVEの可視化と把握が大きく前進することになります。」


編集部注:IBM Navigator for iでも、今回新たに追加された”CVE_INFO テーブル関数”を利用し、連携することでセキュリティー対応状況を一覧表示することが可能です。

Cloud Key Protectとの統合

IBM i 7.6 TR2では、IBM CloudのIBM Key ProtectがIBM iと初めて統合され、外部鍵管理(いわゆる「Bring Your Own Key(BYOK)」や「Keep Your Own Key(KYOK)」)に対応します。

「現在利用しているキーストアから既存のAES(Advanced Encryption Standard)鍵をエクスポート、または移行し、Key Protectの環境へ移すことが可能になります」と、IBM iのセキュリティアーキテクトであるTim Mullenbach氏は述べています。「キーのラッピングも可能になります。これは、IBM Key Protectインスタンス上でルートキーを作成し、ローカルに保存された鍵をそのルートキーで保護(ラップ)する仕組みです。この場合、鍵を利用する際にはKey Protectによるアンラップが必要となります。こうした鍵は、既存の暗号化/復号の暗号サービスAPIでも利用できます。」

モダンなメール認証機能

GmailやMicrosoft 365など主要なメールサービスのセキュリティ要件への対応として、IBM iではSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)向けOAuth 2.0サポートが追加されました。Navigator for iで設定できるOAuth 2.0により、アプリケーションはユーザーのパスワードを使用せず、短期間有効なアクセストークンによってメールへアクセスできるようになります。

「メールサーバープロバイダーがOAuth 2.0を必須とする流れが広がる中、SMTPチームは、OAuthベースの認証機能を利用できるようにするため、サーバーの強化に精力的に取り組んできました」と、IBM iのアプリケーション開発およびシステム管理担当ビジネスアーキテクトであるTim Rowe氏は述べています。「これは、セキュリティ環境が変化し続ける中で非常に重要な機能です。IBM iも、その変化に合わせて継続的に進化していく必要があります。」

コミュニティーの意見により進化する IBM i

今回のOAuth 2.0対応の追加は、IBM Ideas Portal に寄せられたユーザーからの提案によるものです。Tim Rowe氏も、IBM i 7.5および7.6の各リフレッシュにおいて、コミュニティからの意見が重要な役割を果たしていることを強調しています。「これらの機能の多くは、Ideas Portalを通じて提供されたものです。実際に利用しているのは皆さんです。より良い使い方についての情報を共有していただいています。私たちは、そうした声を反映しながら継続的に改善していきたいと考えています」と語っています。


本記事は、TechChannelの許可を得て「IBM i 7.5 TR8 and 7.6 TR2 Highlight ‘Zero Downtime’ Aspirations—and the Value of Community Input」(2026年7月28日公開)を翻訳し、日本の読者に必要な情報だけを分かりやすく伝えるために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。

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