<<2月16日:CBU機のライセンスについて訂正>>
以前当サイトに掲載した記事「IBM i ライセンスはサブスクリプション型へ移行」でもご紹介した通り、IBM はIBM i の提供形態を永続ライセンス型からサブスクリプション型(以下サブスク)へ変更する予定です。
まずはローエンド機からサブスク型へ移行するのですが、そのソフトウェア・グループP05ならびにP10の永続ライセンスの販売がいよいよ本年3月25日5月7日で終了します。
つまり、2024年3月26日5月8日以降にPower10搭載のS1014、S1022、S1022sをご購入の場合は、IBM i はサブスク・ライセンスのみでの提供となります。
サブスク・ライセンスについては前述の記事でもご説明しておりますが、再度その内容と、現時点で考え得る考慮点をご説明します。
サブスク・ライセンスとは
現在IBM i では、2022年5月3日の発表以降、P05から最上位P30までのOSライセンスにて1年から5年のサブスクリプション・ライセンスが提供されております。
※併せて読みたい「IBM i のサブスクリプション・ライセンスの拡張」
https://iworldweb.info/column/product/20230228_subscription_expantion
対象となるバージョンはV7.3、V7.4、V7.5で、サポートするハードウェアはPower9、Power10搭載のIBM Power全モデル(IBM iをサポートしないモデルを除く)となっています。
(ただし、IBM i V7.3は2023年4月28日営業活動終了、2023年9月30日サポート終了。
Power9は2023年10月20日に営業活動を終了しています。)
サブスク・ライセンスはライセンス使用料とSWMAの保守料金を含むものとなります。契約期間は1年から5年の間で選択することができ、期間に応じた初期一括払いとなります。なおPower10搭載機の場合には、初期購入時の契約期間はハードウェアの保守サービスであるExpertCareと年数を併せることが必須となっています。
現在サブスク・ライセンスとして発表されているのは、以下のものとなります。
-
5770-SS1:IBM i 基本ライセンス
プロセッサーライセンスとユーザーライセンス
対象バージョン : IBM i 7.3 以降 -
5770-WDS:Rational Development Studio for i
3つのオプションを1つのパッケージ (ユーザーライセンス) で提供
アプリケーション開発ツールセット(ADTS)
Heritage コンパイラー
Integrated Language Environment (ILE) コンパイラー
対象バージョン : IBM i 7.3 以降 -
5770-BR2:IBM Backup, Recovery and Media Services for i (BRMS)
Advanced フィーチャー、Network フィーチャーは標準で含まれる
プロセッサー・コア数単位ライセンス
対象バージョン : IBM i 7.4 以降 -
5733-ICC : IBM Cloud Storage Solutions for i
Advanced フィーチャーは標準で含まれる
対象バージョン : IBM i 7.3 以降
これ以外にも、今後
- DB2 mirror for i (5770-DBM)
- PowerHA SystemMirror for i(HAS) 有償ライセンス
等が近日中にサブスク・ライセンスとして提供される予定になっています。
なお、5733-RDW(Rational Developer for i)のサブスクリプションライセンスは、PA(passport advantage)での提供になりますのでご注意ください。
それ以外のいわゆる無償ライセンスプログラム(LPP)は、 オーダー不要となりライセンスキー無しで導入可能となっているので、IBM i のサブスク・ライセンスの一環として提供されます。
<注:上図で「ライセンスキーあり」となっているものについては、5770-SS1に対してライセンスのチェックを無効にするための PTFが提供されています*注1>
また、DB2 Web Query for i(WQE/WQS)永続ライセンスについては、2023年10月10日営業活動終了となっており、サブスク・ライセンスの提供はありません。
*注1:•上記ライセンスのチェックを無効にするためのPTF
5770-SS1 (2023/10/24 更新)
7.5 : SI84894
7.4 : SI84893
7.3 : SI84892
7.2 : SI84891
7.1 : SI84890
ソフトウェアはESS Web サイトの“IBM i Evaluation and NLV Download” からダウンロードにより入手
サブスク・ライセンスの考慮点
サブスク・ライセンスの考慮点として現時点で判明しているものは以下のとおりです。
- 期間途中で解約された場合、返金はありません。
- サブスクリプションで購入した機器へのライセンス追加は、サブスクリプションライセンスでの追加購入となります。永続ライセンスとの混在はできません。
- 永続ライセンスからサブスクリプションライセンスへの移行はできません。
例えば、リプレース構成でWDSを移行できません。 - 通常保守終了(EOS)後のバックレベルサポートの考え方は、永続ライセンスと同じ基本サポート7年、延長サポート3年と、従来と変わりません。
同一機器の中でサブスク・ライセンスと永続ライセンスの混在はできないと記載しましたが、例えば今現在Power9/10搭載機をご利用中のお客様で、ユーザーライセンスやプロセッサーライセンスのコア数を追加購入される場合には、2024年3月26日5月8日以降も永続ライセンスでの追加購入が可能です。これはあくまでも現在永続ライセンスをお持ちでそれに追加のライセンスを購入される場合に限定されます。
また、混在が出来ない例としてもうひとつ、本番機とバックアップのCBU機もライセンス形態を統一する必要があります。これはCBU機というものが、障害時に本番機からライセンスを移転することが前提となっていることによるもので、本番機は永続ライセンスで、追加で購入したCBU機はサブスク・ライセンスという構成はとれませんので注意が必要です。
<<2月16日訂正>>
一方、本番機とバックアップのCBU機の間では、永続ライセンスとサブスクリプションライセンスのいずれの組み合わせも可能です。
本番機が IBM i 永続で CBU機が IBM i サブスク、本番機が IBM i サブスクで CBU機が IBM i 永続のどちらの組み合わせも可能です。
ただしひとつのマシン内では、ライセンスはすべて永続であるか、すべてがサブスクリプションである必要があります。1 つのシリアル番号に永続ライセンスとサブスクリプションを組み合わせることはできません。
CBU機がサブスクリプションライセンスである場合、有事の際に本番機からライセンスプログラムを移管する際に必要となるテンポラリーキーは、CBU機の IBM i のサブスクリプション期間に合わせて生成されます。
もうひとつ気を付けなればいけないのは、サブスク・ライセンスが期限切れとなった場合にはライセンス・キーが無効となり、システムログイン時にライセンスキーを入力するようにとのメッセージが表示されるようになるということです。
万が一にもライセンス切れで基幹業務が停止するということがあってはならないため、自動更新の仕組みの発表が待たれるところです(2024年1月時点では自動更新オプションは未発表)。
まとめ
以上、2024年1月時点でのIBM i サブスク・ライセンスの概要と考慮点をまとめましたが、いかがでしょうか?
サブスク・ライセンスには、
- OPEX(Operating Expense:事業運営費)モデルとして、永続ライセンスと比較して低いエントリー料金で提供される
- 1〜5年のコミット期間が担保され、期間中は料金が保護される
- SWMA が失効した小規模のお客様は、SWMA の回復およびライセンス後の料金よりも加入費用が安くなる場合もありうる
等々のメリットがあり、今後の機器投資に際してもサブスクであることによって取締役会での承認を得やすくなる可能性もあります。
P05/P10の永続ライセンス購入は今年3月25日5月7日までとなっておりますので、永続ライセンス購入をご希望の方はお早目のご検討をお薦めいたします。
2月20日IBM発表:
永続ライセンスの営業活動終了日(2023 年 8 月 29 日付発表書簡:923-0489)は、2024 年 3 月 26 日から 2024 年 5 月 7 日に変更されました。