2月27日
2023年2月14日、日本アイ・ビー・エム株式会社は、IBM i オペレーティング・システムにおけるサブスクリプション・ライセンスの拡張を発表しました。
発表書簡:
「IBM i オペレーティング・システムは、 IBM Power9 および IBM Power10 サーバーのすべてのプロセッサー・グループに対してサブスクリプション・ライセンスを提供します。」
これは2022年5月3日に発表になったIBM i のサブスクリプション・ライセンスが機械グループP05のみを対象としていたのに対し、今回はその範囲をP10、P20、P30まで拡張しました。また、昨年の発表時にはユーザー・ライセンスは5ユーザー単位あるいは無制限ユーザーがサブスク対象となっていましたが、今回は社外ユーザー・ライセンスもサブスク対象となりました。
サブスクで提供されるのは、IBM i V7.3、V7.4、V7.5で、サポートするハードウェアは今回の機能拡張により、Power9、Power10搭載のIBM Power全モデル(IBM iをサポートしないモデルを除く)となります。
おさらいになりますが、現在IBM PowerにおけるIBM i オペレーティング・システムは、オンプレミス・マシンの場合、
- ライセンスを取得する従来の方法
- ソフトウェアを使用するための有効期限のないライセンス
- SWMA は年次更新
- より高い初期投資(CAPEX)
- IBM iソフトウェアを入手するための新たな方法 / OPEXモデル
- 1年から5年のサブスクリプション期間の価格設定モデル
※ 契約期間中はキャンセル不可 - 期間終了の際は、新たな期間を購入
- 永続ライセンス購入よりも低い初期投資
- 期間中の価格の保護
- 永続ライセンスからサブスクリプションへの移行は不可
- 年額料金にSWMAが含まれる
の2種類が提供されることになります。
この永続ライセンスとサブスク・ライセンスは原則同一マシン上に共存させることはできませんが、先日発表された仮想シリアル番号などを併用することにより、同一マシンでの共存も考えられます。例えば固定的に基幹業務系で利用している区画は永続ライセンスを購入し、開発用途などで一時的に区画を増やして使いたい場合には追加で仮想シリアルの区画用にOSのサブスク・ライセンスを購入するというような使い分けも可能になるものと思われます。
ただし、一度購入した永続ライセンスをサブスク・ライセンスに移行することはできませんので、購入時によく検討が必要です。
サブスク・ライセンスは利用年数(1年から5年まで)毎に異なる製品番号がアサインされているので、必要な年数を決めてオーダーしてください。ただし、Power9マシンで稼働させる場合には1年から5年まで選択可能ですが、Power10マシンの場合にはハードウェア保守のExpertCareと契約年数を合わせる必要があるため、実質3年/4年/5年しか選択できません。
購入した期限が終了してさらに延長したい場合には、追加年数分だけ再度サブスク・ライセンスを購入することになります。
ただしサブスク期間中に万が一OSの価格改定があったとしても、契約期間中は契約時の価格が保護されますので、細切れに購入するよりは、ある程度の期間の利用が想定される場合には長めに購入したほうが安全といえるでしょう。
ただし、現在このサブスク・ライセンスではIBM i オペレーティング・システム以外のIBM i 関連ライセンスソフトウェア(LPP)はサブスク提供されておりませんので注意が必要です。前出の年表にもある通り、いずれこのLPPもサブスク化されることが開発意向表明でアナウンスされておりますので、サブスク・ライセンス環境で例えばコンパイルする必要がある場合などはLPPサブスク化をお待ちください。
現在IBM i の環境では、このオンプレ環境での永続ライセンス/サブスク・ライセンスのほかにも、ハードウェアごとサブスク・ライセンスで契約しオンプレで利用する(P05のみ)方法や、Power Virtual Serverの様にIBM i のインフラそのものをas a Serviceで利用する方法など、選択肢が増えています。お客様のニーズに合った利用方法が選択可能ですので、保守終了間近のPower8搭載機をご利用のお客様などは、是非一度販売店様にご相談されてみてはいかがでしょうか?