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Power11プロセッサー搭載サーバーでIBM Spyreアクセラレーターが利用可能に

Power11プロセッサー搭載サーバーでIBM Spyreアクセラレーターが利用可能に

2025年12月12日より、IBM Power11プロセッサー搭載サーバー向けに、IBM Spyreアクセラレーターが一般提供されるようになりました。
Power11プロセッサー搭載サーバーを用いたAIの実運用を急ぐ企業や組織が、AIアクセラレーション技術によって、オンプレミスでの高速かつ安全な処理を実現することが可能になりました。(編集部)


2025年12月16日 アンドリュー・ウィッグ

AIアクセラレーターであるIBM Spyre アクセラレーターが、PCIE接続のカードとして、Power11プロセッサー搭載サーバーで利用可能になりました。


IBM Spyreアクセラレーター

IBMのデータによると、Power11プロセッサーに搭載されている独自のオンチップAIアクセラレーターを補完するために、各Spyreチップは32個のAIアクセラレーター・コア、128GBのLPDDR5メモリー、300TOPSを超える処理能力を提供します。

PCIe Gen4 I/O拡張ドロワーには、最大8枚のSpyreアクセラレーターを搭載でき、メモリーは合計1TBに達します。

フルスタックAI戦略

IBM Spyre アクセラレーターを披露した記者会見で、IBMの幹部達は、IBM Spyre アクセラレーターが、フルスタック統合を重視するAIへのアプローチに適合していることを概説しました。

「IBMは単なる処理能力そのものを競っているのではありません」とIBM Power製品管理担当バイスプレジデントのバルガフ・バラクリシャン氏は述べました。処理能力面で、IBMはNVIDIAに負けているとバラクリシャン氏は認めた上で、Spyreアクセラレーターの「ターン・キーの容易さ」を引き合いに出しながら、「私達が優位に立てるのは統合化の動きです」と述べました。

そして、AIに対する統合化されたプラグアンドプレイ型のアプローチは、企業や組織がビジネスを円滑に運営しながら、革新という厄介な課題に対処するのに役立つとバラクリシャン氏は述べました。

AIのROIは依然として捉えどころがない

企業や組織は、大規模なAIの実装に悪戦苦闘しています。よく引用されるMIT(マサチューセッツ工科大学)の「MIT STATE OF AI IN BUSINESS 2025」で、95%の企業や組織がAIへの投資から何も利益を得ていない、とMITは分析しています。※1

したがって、利便性と有用性はエンドユーザーにとってAIの特徴であり続ける一方で、AIを大規模に実装することは全く別の問題です。

IBM Powerのグローバル部門におけるAIのリーダーであるセバスチャン・レリッグ氏は、最近出演したポッドキャストで、AIを大規模に運用するには、企業や組織はネットワーク構成、ビジネス・ワークフローの統合、データ管理、潜在的なスキル・ギャップなどの要素を考慮する必要がある、と指摘しました。

さらに、大規模なAIの実装には、データサイエンス、ソフトウェア開発、セキュリティー、そしてMLOpsの専門知識を含むであろう、複数の専門分野にまたがるアプローチが必要だと述べました。

「Spyreを使うことで、複数の専門分野にアプローチがまたがることの複雑さを最小限に抑え、基本的にワンクリックで導入可能な事前構築済みAIサービス群をIBM Power上で起動できます」とレリッグ氏は述べました。

※1 参考:@IT『MIT調査レポートが示す「生成AI導入」の実態と、成功に導くポイント

データの保護

AI実装を成功させるためのもう1つの課題は、データ・セキュリティーとデータ主権に関する問題です。企業や組織は、個人を特定できる情報などの機密データをクラウドに送信して処理することに躊躇しています。

Spyreは、より多くのAI処理能力をPower11プロセッサー搭載サーバーに提供することで、全データをオンプレミス内に保持することを助けます。そして、AIアプリケーションは、業界標準APIを用いたテストをクラウド上で実施した後、本番稼働のためにオンプレミスに移行できる、とレリッグ氏は解説しました。

「本番稼働に移行する際、データが存在する場所にAIも移行する方が容易な場合が多いのです」とレリッグ氏は語りました。

大まかに言えば、Spyreの主な用途は「トランザクション監視」と「生産性向上」の2つです。

  • オンチップAIアクセラレーターと最適な予測モデルを補完するものとして、Spyreは生成AI機能をコアの近くに配備し、単一トランザクションにおける不正検知のために、複数のモデルタイプを使用可能にします。
  • 生産性の面では、Spyreの能力がエージェント型AI やAIアシスタントを強化するとIBMは強調しています。具体的には、2026年第1四半期に提供開始予定のAI搭載統合開発環境(IDE)のIBM Bobなどの製品における活用が挙げられます。

エージェント型のフレームワークはIT環境に限定されることなく、実世界にも拡張できます。あつらえ向きの例の1つは輸送業界であり、すでにエージェント型AIが運用されている、とバラクリシャン氏は述べました。

輸送業界向けに調整されたエージェント型AIのシステムでは、路上でトラックに問題が発生した場合、AIエージェントがトラックのルートや目的地などの関連データを取得します。そして、最寄りの修理工場を探し、予約を取り、さらには、その修理工場に必要な部品の在庫があるかどうかを確認することも可能だ、とバラクリシャン氏は述べました。

IBM Spyreアクセラレーターを使うための準備

IBM PowerサーバーへのIBM Spyreアクセラレーターの導入には、以下の要件を満たす必要があります。

    ハードウェア
  • IBM Power11プロセッサー搭載サーバー
  • 1TB以上 のメモリー
    ソフトウェア
  • Red Hat Enterprise Linux 9 for Power LEバージョン9.6以降
  • Spyre Enablement Stack for Power (5639-SPY)
  • IBM Spyre for Powerのライセンス交付
  • Red Hat AI 推論サーバー

関連情報


本記事は、TechChannelの許可を得て「Spyre AI Accelerator Now Available on Power11」(2025年12月16日公開)を翻訳し、日本の読者に必要な情報だけを分かりやすく伝えるために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。

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