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2025.02.03
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DXはノーコードツール+生成AIで:エンド・ユーザーによるDXアプリ開発物語

DXはノーコードツール+生成AIで:エンド・ユーザーによるDXアプリ開発物語
DXはノーコードツール+生成AIで:エンド・ユーザーによるDXアプリ開発物語

当記事は、2024年12月4日に開催された日本アイ・ビー・エム株式会社主催のイベント「IBM i Advantage 2024」にて、協和自動車株式会社 パーツ部東京本部 営業所長 赤岩 剛至氏が行った講演を基に再構成しております。

協和自動車株式会社(以下、協和自動車と略)は東京都中央区東日本橋に本社を構える、従業員160名、売上46.8億円(2022年12月時点)の企業です。創業の昭和21年以来の自動車整備業のほか、現在では車両販売、オートリース、レンタカー、保険業務、そして自動車部品小売・卸売などカーライフ全般をトータルサポートする会社です。

中でもパーツ部東京本部は、輸入車に特化した自動車部品の小売・卸売を手掛け、特に世界最大のメガサプライヤーであるドイツBOSCH社の販売特約店として同社補修部品売上国内最大規模を誇っています。

一概に自動車部品といっても新車組付け部品、修理補修部品、アクセサリー用品など色々ありますが、その中でもパーツ部東京本部では、輸入車に特化した自動車補修部品を主に取り扱っており、例えば、オイルフィルターやワイパーブレード、ブレーキパッド、バッテリー等の車検部品から車両の修理に使うバンパーやドアパネル、ヘッドライトなどの外装部品、その他にエンジン、ミッションなどのリペア部品や各種センサー類、これら自動車整備補修に使用する全ての部品の販売を行っています。また、対象顧客は部品商社、整備工場、自動車販売店、個人でのウェブ販売と多岐にわたっています。


この自動車部品業界のDXについては、大手自動車メーカーでの部品受発注は早々にオンライン化が行われていましたが、その下流である部品商社や整備工場での販売については、いまだ電話やFAXが受発注のメインとなっていて、協和自動車でも約一万アイテムある輸入車在庫部品の販売において例外ではありませんでした。
しかし、近年急速に取引のオンライン化が進み、大手部品商社各社がB2B取引のオンライン化を開始しました。ところが、オンライン化するにあたり専門のスタッフを雇ったり、また開発費を数百万かけている会社もあり、協和自動車にとってはかなりハードルが高いものに感じられました。というのも、協和自動車のIT部門は少数精鋭で行っており、日常業務に忙殺され、DX対応まで手が回らないということ、そして、ECサイトの外部委託という案もありましたが、初期費用が高くなるイメージで検討がなかなか進みませんでした。
B2B取引のオンライン化導入に関しては、いつかやらなければならない業務ではあるものの、今日明日に行わなくても業務はまわるので、どうしても後回しになってしまったのです。

この様な状況で出会ったのが、基幹システムでご縁のあった株式会社MONO-Xの販売するMONO-X Oneでした。
MONO-X Oneはプログラミングの知識がなくても、ノーコードで企業間取引向けの業務用Webサイトがつくれるクラウドサービスです。初期費用もかからず、かつ自社内でWeb画面を作成することにより、月額定額でECサイトの運用が可能ということでしたので、まずはパーツ部が自力で試験的に照会系のWebカタログを構築することとなりました。

実際にMONO-X Oneの初期デモ画面を見たときに感じたのは、自社の既存システムからデータを抽出し表示させるので、導入に際してデータの移行などで手間がかからないこと、さらに画面作成もノーコードで作りこむため、プログラミングの知識がなくても簡単にできそうだというイメージでした。

今までは電話やFAXで受けた部品在庫の問合せを、営業スタッフ各自が自社システムで確認し、折返しお客様に連絡をしていました。
この作業すべてをお客様が直接行うことができるようになれば、画期的なシステムになります。しかもMONO-X Oneでは直接既存の自社システムにアクセスするので、既存システムの在庫数、価格情報などがリアルタイムに連動する、つまり、既存システムとWebシステムをタイムラグなく同時に運用することが可能となります。そしてクラウドを介したデータのやりとりなど、セキュリティの高さも魅力的でした。

実際にパーツ部で在庫照会画面を作り始めると、MONO-Xのノーコードツールの手軽さから、素早く基本的な画面を作成することができました。これだけでも十分に機能的な画面を構築できますが、直接SQLで定義することで、例えば在庫数量に応じて「在庫なし=×」「在庫少ない=△」「在庫有=○」といったシンボルを表示するなど、凝った設定を加えたい場合にも柔軟に対応できることがわかりました。
その時に役立ったのが、MONO-X Oneでのノーコード操作によるSQL機能と、生成AI ChatGPT の組み合わせでした。MONO-X One には、ノーコードで作成した画面のSQLソースコードを表示する機能があり、そこで出力されたSQLを生成AIによってカスタマイズすることで、経験豊富でないメンバーでも簡単にSQLを調整し、カスタマイズすることができました。この場合、生成AIに投げるのはSQL文のみであり、データベースの中身は出さないので、万が一の場合もデータの流出の恐れはなく、安心して利用できるのも大きな利点です。
このように、MONO-X Oneでは、ノーコードの利便性を保ちながら、必要に応じて高度なカスタマイズを行うことで、表現力豊かで業務に最適化された画面を構築可能です。今回のケースでは、ITの専門家でなくても生成AIの力を活用することで、業務プロセスの幅や効果をさらに高められることを実感しました。

<MONO-X Oneの開発画面と生成AI>

具体的な作業としては、MONO-X Oneのノーコードで作成したコンテンツ画面に表示されるSQLソースコードをコピーして生成AIに貼り付け、そして書きかえ要望を入力します。するとすぐにSQLのCASE文を使って書き換えたというコードが表示されます。生成AIでは具体的な説明もついていたので、数値や希望を書き換えた応用もできました。
これ以外にも、例えば定価採用日と今日の日付を比較して表示させるといったケースもありました。具体的には現在定価1000円の商品が来年の1月1日から1200円になる場合、本日、例えば12月の4日では定価1000円で表示され、来年の1月以降になると自動的に1200円と表示される。これについては「サーバーから現在日付を出す」や「指定のパーツの定価日付のデータと今日の日付の比較をする」といった追加ロジックを生成AIに入力し、新しいSQL文を作るようにしました。生成AIを繰り返し使うことで、こちら側のサーバー環境の理解を深め、どんどん回答精度が高くなっていきました。こうして納得のいく在庫照会画面ができ上がったのでした。

<MONO-X Oneを使って在庫照会画面が完成!>

でき上がったサイトは、パーツ営業ですので直接お客様のところへ行き、自分で説明をしながら導入して頂き、また不具合があれば自分ですぐに手直しをしながらブラッシュアップしていく、といったサイクルをまわすことで、お客様にも満足いただけるシステムができました。まだ在庫照会機能のみですが、1日に数十件あったお客さまからの在庫確認の電話、FAXが減少し、スタッフにも余裕が出てきました。
さらにお客様側では、エンドユーザーからの問い合わせにスマホでも即答できるようになり、成約率が上がったという話を頂いたり、また夜間や土日の対応も可能となり、エンドユーザーに対してより柔軟な取引ができるようになったという話も頂きました。

MONO-X Oneは販売の現場サイドには非常に使い勝手のよい製品でしたが、もちろんMONO-X社のしっかりとしたサポートがあってこそとも感じています。
例えば、在庫画面を開いた際に、最初に毎回データの先頭から一覧が表示されていましたが、一覧は不要という製品の機能修正にも即座に対応いただくなど、要望を常に取り入れ製品の機能アップをしていただいたり、質問に対するレスポンスの良さなど常に細かいサポートをしていただきました。
とにかくMONO-X Oneでは現場の人間が即座に対応できる、そんなレスポンスの良さが最大の利点と感じています。

今後は得意先ごとに異なる販売価格の表示やWeb受注サイトの構築を行っていく予定となっております。これらはパーツ部、電算室で役割分担をして構築し、お客様へのより一層のサービス向上を図っていきたいと考えています。

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