ACS最新リリースでの機能紹介
- IBM i Access for Windows(IAW)と同様なエミュレーター機能、データ転送機能に加え、iSeriesナビゲーター提供機能の大部分をサポート。
- OSS管理機能などACSでだけ利用可能な機能拡張、JDBCドライバー、ODBCドライバー(PASE用)など様々な機能も提供
- とりわけSQL操作・開発関連機能はiSeriesナビゲーターと比較してもそん色がないほどの機能を提供
- HMCへの接続機能、Power Systems CEC(本体)ユニットの仮想制御パネル、5250コンソールなどH/W関連操作機能も提供
ACS(IBM i Access Client Solutions)は長年IBM i バンドルのエミュレーターとして利用されることの多かったIAW(IBM Access for Windows)の後継製品として位置付けられることが多く、「エミュレーター機能」が中心とお考えのユーザーも多いと思われます。 初期バージョンのACSは確かにその通りでしたが、最新ACSでは様々な機能が拡張されており、「IBM i運用担当者、開発担当者のIBM i 操作はACS一つで基本OK」と言えるところまで成長したと思います。(もちろんプログラム開発にはSEUやPDM, RDiなど開発環境は別途必要ですが)。
最新ACSの主な機能
今回はACSの中でもあまり知られていないと思われる機能をいろいろとご紹介したいと思います。ご紹介するACSは1.1.8.4 (2020年4月D/L開始)レベルです。試してみたい場合は利用時点での最新のIBM i OS側のPTF適用もお忘れなく。 それではACSのいくつかの機能をご紹介しましょう。
1. 一般
一般カテゴリは従来のエミュレーター機能やDb2 for i とクライアント間のファイル転送機能、IFSファイル操作, スプール操作などの機能が並びます。今回はこの中からIFSファイル操作を見てみましょう。
“統合ファイルシステム” をクリックすると下記のメニューが表示されます。
一瞥するとIFSファイル上のファイルを直接編集するメニューは存在しません。IFSファイルを編集したい場合は、いったんクライアントに “ダウンロード” して編集後、 “アップロード” することで編集が可能です。”送信”は別なIBM i システムにファイル転送するメニュー、”許可” はEDTOBJAUTコマンドに相当するオブジェクト権限編集のメニューです。
2. データベース
データベースカテゴリは非常に充実した機能を提供しています。”スキーマ”をクリックすると、DB、スキーマ(ライブラリー)が階層表示され通常必要となるほとんどの機能を操作可能です。
基本的なDBファイル操作から詳細なデータベースやSQLの分析も可能です。主なところでは、”定義” はDDS,DDL定義情報、”SQLの生成”はDDL文生成、”ロック” WRKOBJLCKコマンド相当、”索引アドバイザー”推奨インデックス提示、”処理” MQT,インデックス、プランキャッシュステートメント、”データ” テーブル内のレコード表示、消去ほか、などです。
”SQLスクリプトの”実行はiSeriesナビゲーターやNavigator for iなどでもお馴染みの対話型SQL実行画面なのですが、最近の機能拡張でコンテント・アシスト機能というものがあります。たとえばSELECT文をスキーマ名まで入力し、選択するカラム名がわからない場合などに、 Ctrlキー + スペースキーを押下すると、そのスキーマ中のテーブル、ビューのカラム名と情報をリスト形式で表示するものです。使えるケースは限定的かと思いますが生産性向上に寄与する面白い拡張だと思います。下記の例ではQSYS2ライブラリー配下のテーブル、ビューのカラム名とその情報が一覧表示されています。
また、新機能ではありませんが、SQLスクリプトの実行画面では、冒頭に CL: と入力してCLコマンドを実行することもできます。下記の例のDSPMSG QSYSOPRコマンドやDSPJOBコマンドのように5250画面へ出力が標準のコマンドも実行可能です、その場合はQSYSPRTなどへスプールとして結果が出力されます。
3. オープンソースパッケージ管理
現在、ACSでだけ使えるオープンソースパッケージの管理機能があります。メニューの”ツール”→”オープンソースパッケージ管理”から実行します。下図のような管理画面が表示されます。インストール済みパッケージとより新しいリリースの有無を確認することができます。
あるOSSを選択して、”情報” をクリックすると、インストール済みとインストール可能な新バージョンの情報が表示されます。 下記の例では導入済みのzipバージョンが 3.0.0 で 新しいバージョンの3.0.3が導入可能であることがわかります。
更新が使用可能です のタブから “アップグレード” をクリックするとインストールが開始されます。
別画面が起動し、yes / NO の確認が表示されるので y を入力します。
パッケージがダウンロードされアップデートが進行します。
完了すると Complete! のメッセージが表示されます。
この例ではzipが “更新が使用可能です”タブから消え、F5キーを押すとインストール済みバージョンが3.0.3に更新されています。
以上のように以前のACSより色々と機能が増えています。例えば、ACS付属の新しいJDBCドライバーではドライバーレベルでの代替フェイルオーバーをサポートしています。冗長化構成アプリケーションの作成にきっとお役に立つことでしょう。
ぜひご自身で使ってACSに触れて、新しい機能・使い方を発見してみてください。
筆者
日本アイ・ビー・エム株式会社 多数の執筆記事を、iWorldに寄稿中。 |