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2025年7月25日(金)開催 『Power for the Next Era:AI時代を動かす信頼と進化の基盤へ』
2025年7月8日 アンドリュー・ウィッグ
7月8日のPower11の発表によって、IBMは今年も主要なハードウェア・リリースを継続しました。そして、IBMはPower11の発表をAIおよびハイブリッドクラウドの時代に向けた画期的なものであると述べています。
「これは最大ではないとしても、とても大きなIBM Powerの発表の1つになるはずです」と、IBM Powerの製品管理統括責任者であるバルガブ・バラクリシュナン氏は事前発表の記者会見で語りました。
なぜなら、ハイエンド、ミッドレンジ、エントリーレベルのPower11サーバーが初めて、利用可能日の7月25日にすべて出荷開始されるからです。また、この製品系列では初めて、Power11はIBM Power Virtual Server経由で利用可能日初日からクラウドでも利用できるようになります。
AIアクセラレーション、ハイブリッドクラウド機能
本格的な製品投入のための準備をする中で、IBMはシステムのAIおよびハイブリッドクラウド機能を重点的にプロモーションしています。Power11にはIBMの新しいAI専用チップであるSpyre(スパイア)アクセラレーターがPCIe接続で搭載可能でき、2025年第4四半期に利用可能になる予定です。また、IBMは、オンプレミスとクラウド間の一貫したアーキテクチャーを活用した、シームレスなハイブリッドクラウドが配備できることも強調しています。
Power11プロセッサーはPower9と比べてコア性能が55%向上しており、同等のPower10サーバーよりも1つのチップに25%多くのコアを搭載できます。ただし、AIワークロードは、純粋な計算能力以上のものに依存する、とバラクリシュナン氏は強調しました。
「AIワークロードは、GPUを購入してサーバーに搭載すれば良いといった単なる高速化で済む話ではありません。ずっと複雑なのです」と彼は述べました。そのことを念頭に置いて、バラクリシュナン氏は、Red Hatの各種ツール、出荷が予定されているwatsonx Code Assistant for i、大規模なAI導入を支援するためのデータレイクハウスであるwatsonx.data向けに、Power11が最適化されていることをアピールしました。
計画的および計画外の停止時間の回避
Power11はIBM Powerサーバー史上、最も堅牢であり、可用性99.9999%(「シックス・ナイン」)という成績を挙げています。これは年間の計画外停止時間が31.5秒未満であることに相当するとバラクリシュナン氏は指摘しました。
計画外の停止時間を確実に回避する1つの方法は、適切なセキュリティー対策を行うことです。そのために、IBMはいくつかのツールに注目しています。Power11で最も優れたセキュリティー・ツールの1つがIBM Power Cyber Vaultです。IBMのテストによれば、IBM Power Cyber Vaultは先手を打って、変更不可能なデータ・スナップショットを取り、1分以内にランサムウェアの脅威を検知します。
一方、計画停止時間はPower11ではゼロにまで短縮されています。これは、自立型のパッチ適用やワークロード移動などの機能に加え、IBM watsonxファミリーのAIの力を活用した運用センターであるIBM Concertの助けを借りて達成されるものです。
「Power11で新しいことの1つは、Powerシステム・スタック内で開発を行っているだけでなく、IBMスタック全体を活用していることです」とIBM Powerの統括マネージャーであるトム・マクファーソン氏は発表前の説明会で述べました。
ユーザーの声
IBMは自社製品を導入している顧客基盤を仔細に把握してきました。「過去90日以上、おそらく500社ものお客様やパートナー企業と話し合ってきました」とバラクリシュナン氏は、IBM顧客を優先するというトレンドの概要を説明しながら語りました。
IBMのお客様は、コンピューティング能力の増強によるスケールアップだけでなく、スケールアウトも行っています。バラクリシュナン氏曰く、これにはAIアクセラレーションを末端装置まで拡張し、待ち時間削減を可能にするために処理能力をデータソースに近づけることも含むとのことです。
データ主権もお客様にとってのもう1つの優先事項だとバラクリシュナン氏は付け加えました。「特にヨーロッパでは、主権上の理由からデータとワークロードを本国へ回収しているお客様が多く見られます。ハイブリッドクラウド・アーキテクチャーは、より柔軟にそれを実現します」とバラクリシュナン氏は語りました。
さらに、SAPおよびERPワークロード、ハイブリッドクラウド、Red Hat OpenShift、柔軟な配備モデル、そしてデータ主権も、IBMのお客様がPowerプラットフォームの選択肢を検討する際に重視する領域だとバラクリシュナン氏は付け加えました。新規のPowerのお客様は、Red Hat OpenShiftによる最適化、ならびにRISE with SAP経由でクラウド上でSAPを稼働させるという選択肢に魅力を感じる傾向があるとマクファーソン氏は述べました。
「Powerプラットフォームには1万社のSAPクライアントがおり、オンプレミスでSAPを利用できる柔軟性と、Power Virtual Server上でのRISE with SAPへの道があるので、SAP分野で新たなお客様を獲得できると考えています」とマクファーソン氏は述べました。
オンプレミスのお客様にとってさえも、俊敏性が得られるという理由で、サービスとしての消費ベースというモデルが「主要な流れ」になるとIBMは考えているとバラクリシュナン氏は指摘しました。
サービスとしての消費ベースへの回答が、Power11のオンプレミスでの出荷開始日と同時に、クラウドでもPower11を利用可能にすることです。Power Virtual Serverによって、「お客様のためにハイブリッドクラウドの価値を真に解き放ちます。複雑さではなく、一貫性によって影響力を加速させることが重要です」とバラクリシュナン氏は語りました。
本記事は、TechChannelの許可を得て「IBM Power11 to Launch With Full Range of Servers, Cloud Availability on Day 1」(2025年7月8日公開)を翻訳し、日本の読者に必要な情報だけを分かりやすく伝えるために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。
2025年7月8日に、IBM Power11プロセッサーを搭載するIBM Powerサーバーが公式発表されました。今回の発表では、AI、ハイブリッドクラウド、計画停止ゼロが主要なメッセージとして発信されています。そして、IBMは、今回のPower11プロセッサー搭載サーバーの発表を、サーバー製品系列史上最大のものの1つであると述べています。
また、IBM Powerにとって初めて、ハイエンド、ミッドレンジ、エントリーレベルのサーバーの出荷開始日がすべて7月25日に統一されました。これは、どのレベルのIBM Powerサーバーを使用されているお客様も、Power11のAI重視の方針、計画停止時間ゼロの機能、1分未満でのランサムウェアの脅威検出、処理能力の向上というメリットを同時に活用開始できることを意味します。 IBM Powerの進化と多くの機能については、以下の発表概要をお読みください。 (編集部)