先月、IBM i CTOのSteve Will氏は、昨年夏に発表されたRPG Code Assistant(RPGCA)プロジェクトの進捗状況について、待望の最新情報を説明しました。 ライブストリームを通じてWill氏は、彼のチームがコード・アシスタントに含めることを望んでいる3つの主要機能-コードの説明、コードの生成、テスト・プログラムの作成-について説明し、2025年第2四半期にRPGCAベータ版をリリースする計画を発表しました。
さらに、熱心なIBM iコミュニティから寄せられたいくつかのよくある質問(FAQ)にも回答しました。ここではそれらの質問に対する彼の回答をご紹介します。
◆まず、簡単なものから
RPGCAのFAQに対する以下の回答には、Will氏の「今日時点(2024年12月11日)でわかっている限り」という注釈がついています:
Q: RPGCAのシステムには、どのような大規模言語モデル(LLM)が使用される予定ですか?
A:「Graniteのモデルから始めて、そこからトレーニングしていくのは確かです。」
Q: RPGCAは固定フォーマットのRPGをフリーフォーマットのRPGに変換することができますか?
A:「私たちのアシスタントがそのようなことができればいいのですが、今日現在、AIを使わなくても、非常に優れた仕事をするツールが他にもあります。 ですから、今回私たちがやっていることには既存のツールに取って代わろうという意図はありません。とはいえ、私たちはモデルに両方の言語のフレーバーを教えているところです。」
Q: コード・アシスタントはRPGをCOBOLに変換しますか?
A: 「いいえ、それはRPGCAの目標ではありません。 私たちは、RPGを他の言語に変換するのではなく、手持ちのRPGで作業する人を雇う手助けができるようにしたいと考えています。」
Q: COBOLコード・アシスタントはありますか?
A:「この要望は聞いていますが、現在進行中のRPGCAがRPGユーザーのニーズを満たしていることがはっきりしたら、次にそちらに焦点を当てたいと考えています。」
Q:英語以外の自然言語はサポートされますか?
A:「最初のリリースの段階でサポート提供できるかどうかはわかりません……どのように設計するか、どのようなリソースが利用できるかによります。」
Q:RPGCAの提供するアウトプットはどれくらい良いものになりそうですか?
A:「アウトプットは、説明する上ではかなり良いものになると思っていますが、ご質問の意図はそこではないですよね。 一般的には、コード・アシスタントは開発者にとって代わるものになり得るかについて尋ねられることが多いかと思います。開発者の代わりになるほど優れたものなのか? いいえ、コード・アシスタントは、開発者が正確で生産的であるように、不慣れなコード、おそらく不慣れな言語で書かれたコードに対処するのを支援するためのものだと考えています。」
Q: RDI(Rational Developer for i )と互換性のある Eclipse ベースのクライアントをサポートしますか?
A:「RDIを使用するユーザー層が多いことは承知しています。そして、これが重要な要件であることも承知しています。 しかし、まずは何かを使って開発しなければなりません。 VS Codeはより軽快に動作するだけでなく、IBM内外のオープンソースAIの世界でより多くのサポートを受けています。 そのため、残念ながらこのご要望は後回し案件リストにあり、他の要件との優先順位付けをしなければいけない状況にあることをご理解ください。」
Q:寄贈されたコードはどのように利用されるのでしょうか?
A:「まず寄贈されたコードはプライベート・リポジトリに保存されます。 次に、開発チームはそのコードが法的に問題ないかを確認します。 合法的な状態であることが確認されると、両者は契約書に署名し、チームはコード自体に余計なものがないことを確認します。 そして次に、コードの一部を入力とそれに対応する出力からなるトレーニング・ペアにします。
寄贈者の方々には、トレーニング・ペアの作成に協力していただけないかとお願いしています。事実何人かの方々はそうして下さっていて、本当に感謝しています。 最終的には、寄贈者のコードの一部は(プライバシーの規定にもよりますが)Gitリポジトリに公開される予定です。」
Q:どうすればこのプロジェクトに参加できますか?
A:「もし関わりたいと思うのであれば、いくつかのレベルがあります。 ひとつはアドバイザーとして、製品をどのように使いたいか、どのような機能が欲しいかなどの質問を受けるレベルです。さらに深いレベルでは、スポンサー・ユーザーとして、開発中に何度か連絡を受けることになります。 もう一つの関わり方は、モデル・トレーニングのコードを提供することです。 このタイプの参加者はRPGCAのアルファ・リリースを受け取る資格を持ちます。」
Q:もし私がアドバイザーなら、この初期バージョンを入手できますか?
A:「ベータ版提供開始より早くにというのは難しいでしょう。」
Q: プロジェクトに参加するための連絡先は?
A: 「まずAIforIBMi@ibm.com に連絡し、返答を待ってください。そして、コードを寄贈するために何をしたいかによって、ライセンスに同意していただき、次にGitHubのリポジトリに記載されている方法でコードを提出していだきます。」
◆明確な答えのないFAQ
Will氏に寄せられたFAQの中には、まだ明確な答えのないものもあります:
Q: 費用はどのくらいかかりますか?
A:「わかりません。 私たちの顧客層、特にローエンドの顧客層は、超高価なものを買う余裕がないことは理解しており、我々も適切な価格設定になるよう十分に考慮しています。 とはいえ、一方では、これを使わなければならない多くの人々を抱え、より広範な要求を持っている大規模な顧客がいることも事実なのです。」
Q:料金体系はどうなりますか?
A:「まだわかりません。 サブスクリプションかもしれませんし、使用料ベースかもしれません……我々のお客様が何を望んでいらっしゃるのか、アドバイザーからの助言を検討しているところです。」
Q: このRPGCAはどこの上で稼働するのでしょうか?
A:「当初、このモデルはIBMのクラウド上で稼働し、サービスとして提供される予定です。」
Q:このモデルはオープンソースになるのですか?
A:「現時点では不明です。」
Q:他のビジネス・パートナーが拡張できるようにAPI化する予定はありますか?
A:「現時点では不明です。が、IBM iの成功には、私たちの周りにあるIBM iエコシステムが不可欠であり、パートナーがそれぞれのソリューション、インストール、ツール・セットなどに特化して行っていることがあることを知っています。 私は、そのような人たちがこのモデルとその周辺にあるオファーに対してそれぞれ独自のことを行い、その機能を活用できるようにしたいと考えています。ですので、どうすればこれらのことが適切な方法で実現できるかを調査しているところです。」
本記事は、TechChannelの許可を得て「RPG Code Assistant FAQs: Steve Will Gives Answers」(2025年1月17日公開)を翻訳し、日本の読者にとって分かりやすくするために一部を更新しています。最新の技術コンテンツを英語でご覧になりたい方は、techchannel.com をご覧ください。