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2023.11.01
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「PowerVS構築の世界」 第3回

「PowerVS構築の世界」 第3回
「PowerVS構築の世界」 第3回

1. 意外と知られていないICOS利用時における注意事項

バックアップ方式でもご紹介したIBM Cloud Object Storage (ICOS)を利用したバックアップについて、意外と知られていない注意事項をご紹介します。構築を担当するエンジニアの方はぜひ一読下さい。
ICOSを利用したバックアップのトラブルシューティングが下記サイトに記載してあります。実はここにICOS利用時に注意しなければならない仕様がいくつか記載されていますので紹介したいと思います。
https://www.ibm.com/support/pages/cloud-storage-solutions-i-5733icc-reasons-transfers-may-fail

3-1. IBM iのNTP設定は必須

IBM iからICOSへの転送が失敗する理由として以下のように記載されています。

It will also fail if the time zone is correct, but the system time is off by 10 minutes or more.

IBM iのシステム時刻が正確な時刻と10分以上ずれている場合、ICOSはその転送を拒否する仕様のようです。その為、ICOSを利用する環境においてはIBM iのシステム時刻は正確な時刻にするようNTP設定が必須といえます。オンプレではNTP未設定であったお客様も、PowerVSでICOS利用をする場合においてはNTP設定を必ず行って下さい。

3-2. ディスクサイズはブートディスクサイズと揃える

ICOSからIBM iへのデータ転送が失敗する理由として以下のように記載されています。

Another reason this can occur is bad DASD write performance against the load source DASD unit. When a virtual server instance is provisioned in PowerVS the load source is 100 GB by default. After the initial deployment the load source should be changed to match the size of the other DASD units.

PowerVSはインスタンスのデプロイ時にストックされたOSイメージからデプロイします。その際に100GBのブートディスクが1本プロビジョニングされます。(以前は80GBサイズのブートディスクもありましたが、現在は全て100GBです。)これがIBM iのロードソースディスクとなります。
追加でディスクが必要な場合は、1GB~2000GBまでのサイズを任意で指定しプロビジョニングしますが、この際にロードソースディスクサイズと異なるディスクで構成するとICOSからの転送パフォーマンス低下につながるようです。上記記述には「他のディスクサイズに合わせてロードソースディスクのサイズを変更する」と記載されていますが、ロードソースディスクサイズの変更は出来ない為、その他のディスクサイズをロードソースディスクのサイズに合わせると理解した方が良いかもしれません。その為、ICOSを利用する場合、ロードソースディスク以外のディスクサイズはロードソースディスクと同じサイズに構成した方が良いです。
実際、弊社で検証した結果、ロードソースディスク100GB・その他ディスク80GBという構成でICOSからのデータ転送を行ったところ、何度やっても転送が途中で止まってしまう現象が発生しました。その後、ロードソースディスク100GB・その他ディスク100GBとディスクサイズを揃えたところ、この問題が解消しました。これは検証ベースでの紹介となりますが、ICOS利用時はこれらも注意してご利用頂ければと思います。

2. これからはPowerVSの時代。

今まで5,6年ごとにボックスリプレースをする事があたりまえだったIBM iですが、最近はオンプレリプレースと併せて移行先にPowerVSも検討したいという声を良く聞きます。
その理由を考えると、最近ではオンプレミスPower性能も上がり今までよりも高価になっている点が挙げられると思います。過去にはオンプレミスPowerの初期費用の捻出が難しい事から、最新スペックは不要なので必要最低限のスペックで月額10万くらいであればクラウド化したいといった要望のお客様もいらっしゃいました。
以前までは費用面で高いと思われていたクラウドも少し見方が変わってきているようです。メーカーが提供するクラウドという事で、IBM iユーザー様の期待が大きい点も理由の1つだと思います。

冒頭でも記載したようにリリースからわずか4年で様々な機能が追加され、PowerVSは日々進化しています。弊社もその進化に追いつけるよう、あたらしくリリースされた機能や接続方式を検証し、IBM iユーザー様がPowerVSを安全かつ快適にご利用いただけるようにしたいと考えています。今後もPowerVSの可能性を追求し、IBM iユーザー様へ提供すべく取り組んでいきたいと思います。

最後はお願いとなりますが、既にPowerVSをご利用中のお客様でこの記事をご覧になったIBM iユーザー様がいらっしゃいましたら、実際にPowerVSを利用した感想や移行時の苦労話をiWorld Web「PowerVSの世界」へお寄せ頂けますと幸いです。お寄せいただいた感想や意見を「PowerVSの世界」でご紹介させて頂く事で、まだPowerVSの利用に疑念を抱くIBM iユーザー様の不安を払拭でき、PowerVSの普及に繋がると思います。
これからのPowerVSの進化にも期待しつつ、この「PowerVSの世界」を通してPowerVSを盛り上げていけたらと思います。

*株式会社アルファー・コミュニケーションズ

株式会社イグアスの100%子会社。
企業のDX/データ活用のニーズに対応すべく、業務と技術に精通したエンジニアが、新しい技術を取り入れながら、お客様を支援するクラウド・サービス事業と、IBM i(AS/400)の基幹および業務システムを中心に、お客様の業務効率の向上、経営・IT課題の解決をご支援し、システムの立案から導入、構築・アフターフォローまで一貫したサービスを提供するIBM i 関連事業の二つの柱でお客様のイノベーションに貢献するエンジニア集団。

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