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2025.01.09
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「IBM i RiSING」と「ロチェスター・スタディー・ツアー」で確認できた「つながり」と「双方向性」の重要度

「IBM i RiSING」と「ロチェスター・スタディー・ツアー」で確認できた「つながり」と「双方向性」の重要度

 

日本アイ・ビー・エム株式会社のIBM Power事業部は、お客様の期待や要望に応えるべく、2024年は様々な施策を打ち出しました。その中で、多くの注目を集めた「若手技術者コミュニティー:IBM i RiSING(以降は「IBM i RiSING」と記述)」ならびに「ロチェスター・スタディー・ツアー」について、IBM i 統括本部長 山崎秀治氏とIBM Power Technical Salesの古閑さくら氏にお話を伺いました。

IBM i RiSINGの初年度実績と2025年度の展開

iWorld事務局が両氏を訪問したのは、2024年12月初旬に開催されたイベント「IBM i Advantage」の終了後でした。その「IBM i Advantage」の中で多くの参加者に強い印象を与えたと思われるのが、「IBM i RiSING」の成果発表でした。
IBM i RiSINGとは、当サイトの記事(「IBM i 若手エンジニアのためのコミュニティー」発足のお知らせ)で既報の通り、「最新テクノロジーの学習」と「ネットワーキングの構築」を目的とした若手エンジニアのためのコミュニティーです。


iWorld事務局
若手技術者のコミュニティーである「IBM i RiSING」に、74名もの方々が参加されていたことに驚かれた方も多かったと思います。


古閑さくら氏(以降は「古閑」と記述)
74名というのはWebで聴講するだけのメンバーも加えた人数です。RiSING開始前は、分科会活動への参加申込者が30名、実質的な活動メンバーが20名と想定していました。実際には、50名以上の方々に分科会活動にご参加いただけたので、嬉しい誤算となりました。

特にお客様からの関心が高く、「若手コミュニティーをやっているんだって?」とお声がけ頂くこともありましたし、ビジネスパートナー様からの紹介でRiSINGに参加されたお客様もいらっしゃいました。

古閑氏によると、IBM i RiSING参加者は20代から40代の現場寄りの開発者が多く、お客様が約4割、残りがISVやビジネスパートナーという内訳とのことです。
この世代の共通項として、IBM i ユーザーが集う場への参加経験が無いことが挙げられます。
事実、「RiSINGに来たら同じ悩みを持つ同世代の仲間を見つけてモチベーションがあがった」とコメントされた参加者もいたそうです。

古閑
私自身、コロナ禍の最中に入社して、先輩社員と直接会話ができず寂しい思いをしましたので、RiSING参加者のコメントには共感できる部分が多くありました。孤独を感じていた若手技術者のモチベーションの向上に、RiSINGはお役に立てたのではないかと思っています。

また、分科会に参加することで「新しい技術」に取り組むチャンスを得た、とコメントされた参加者もいらっしゃいました。日常業務を遂行しながら、新しい技術を一人で勉強することは容易ではないので、「学ぶ機会」があることも大切なのだと気付きました。

IBM i RiSING参加者はSNSを活用する世代でもあるため、新たに習得した知識の外部への情報発信に長けており、以下表のように分科会の成果をQiitaに投稿されています。
ぜひ、読者の皆様も公開されている各記事にアクセスしてください。
チーム名 タイトル 活動関連情報
A RPGⅢをRPGⅣにコンバートし、VSCodeで動かしてみよう! Qiita記事にて公開
B IBM i 開発プロセスの最適化:RPGとAIが導く新しい未来 外部公開記事、無し
C 初心者による初心者に向けた「RPGⅢ」と「RPGⅣ」 Qiita記事にて公開
D 「生成AIを使用したFFRPGプログラム作成」 Qiita記事にて公開
V-A Visual Studio Codeを活用したIBM i システム開発 外部公開記事、無し
V-B 若手技術者のためのIBM i学習に対する「ChatGPT」活用方法 Qiita記事にて公開
V-C VSCodeを使用したサンプルプログラムの開発 外部公開記事、無し
V-D API機能について 外部公開記事、無し

山崎秀治氏(以降は「山崎」と記述)
RiSING参加者以外の方々から、この取り組みは今年で終わってはいけないとの声が多く寄せられています。やがて、RiSING参加者が企業を支える中堅へと育つまで、RiSINGを軌道に乗せて継続するつもりです。

実は、2025年度のRiSINGの参加者の募集も始めており、先日開催したイベントの会期中に、30社強のお客様から参加意向を伺っております。

誤解があっては良くないので明言しておきますが、RiSINGは研修プログラムではありません。あくまでも、自己研鑽の場です。新しい技術を自ら学ぶ気概を持った方々のご参加をお待ちしております。


お申込みはお早めに→TC-04 : IBM i RiSING -IBM i 次世代エンジニアのための技術交流
※2025年度 IBM i RiSINGへのご参加は、IBM Community Japanのナレッジモール研究への申込みとなります。[2025年ナレッジモール研究のメンバー募集の締め切りは、2025年1月30日(木)となりますので、ご注意ください]

    参加対象

  • IBM i の経験が10年以内の技術者
  • 新テクノロジーにチャレンジしてみたい技術者
  • 2024年同活動参加メンバー
概要
IBM i 次世代エンジニアのための情報交換と技術力向上のため、最新テクノロジーの習得と、ネットワーキングの構築目的とした若手エンジニアのための研究会です。
IBM i の基礎の振り返りから、Free Form RPG、Cloud(Power VS)、OSS(オープンソースソフトウェア)、自動化、DevOps、コンテナ、IoTなど、IBM i エコシステムでの最新技術トレンドを学び合います。

    期待される成果

  • 若手エンジニアが業界最先端スキルを習得し自身のキャリアパスを拡大。
  • 互いの成長を支援するメンバー同士のネットワークの構築。

※ IBM i RiSING -IBM i 次世代エンジニアのための技術交流(TC-04)のお申込みは、2025年ナレッジモール研究のページから


「Navigator for i でのシステム操作やSQLがスタンダードの世代が、いずれIBM i ユーザーのマジョリティーになるまで頑張ります!」と力強く語る古閑氏。
iWorld事務局では、今後も「IBM i RiSING」の活動に注目してまいります。

「ロチェスター・スタディー・ツアー」における試みと学び


「ロチェスター・スタディー・ツアー」とは、IBM i の開発総本山である米国IBMのロチェスター研究所を訪問するツアーのことです。

2023年に約10年ぶりに開催され、2024年の秋にも再び開催されました。

※参加者向けに、ロチェスター研究所内の各施設をめぐるラボ・ツアーも開催。写真は音響テストの施設とのこと。


古閑
ツアーでは、ロチェスター研究所のメンバーからのIBM i の開発方針や最新製品情報のレクチャーの他、IBM Powerから発せられる電磁波や騒音などから、果てはハードウェアの梱包材までを研究・検証する設備を見学するラボ・ツアーなど、3日間で15のセッションならびに1つのツアーと盛りだくさんのプログラムをご提供しました。

特に今年は参加者への事前アンケートを実施し、セキュリティー、AI、watsonx、SQLなど、参加者がIBMの開発者から聞きたいと回答された内容をアジェンダに反映させました。

これらのトピックについて、ロチェスター研究所の実際の開発者が話しますので、技術的に「深い」内容や話題が多くなりました。


山崎
今回のツアーは若手の方に多くご参加いただいたこともさることながら、ロチェスター側の講師も若手が多い編成となっていたのが印象的でした。

参加者からの質問も多かったですね。講師だけでなく参加者も技術者同士ということから、大いに盛り上がっていました。

活発なコミュニケーションがとれたこともあって、参加者の満足度は10点満点中9.72点と、非常に高い評価をいただきました。

「ロチェスター・スタディー・ツアー」は、渡航費用を含む参加費は高額です。
参加者を派遣する企業にとって安くはない投資が必要となる米国ロチェスター研究所訪問を2023年に復活させ、2024年も継続開催したIBM Power事業部の意図と評価はどのようなものなのでしょうか。
山崎氏は次のように語ります。

山崎
ロチェスター研究所はIBM i の聖地です。ツアーにご参加いただいた皆様にIBM i の開発の現場をご覧いただくことは、「IBMはIBM i に積極的に投資をしていて、将来も大丈夫」という安心感を持っていただく観点で、言葉では表現しきれないほどの効果があると思っています。

また、今回は、IBM i の開発担当者、つまり、実際にコードを書いている人たちと、直接、質疑応答をしていただきました。ご参加くださった技術者の皆様に、IBM i には最新テクノロジーが詰まっていることを実感していただけただけでなく、IBM i をより身近に感じていただけたのではないかと考えています。

海の向こうで開発されたものを使っているだけ、の状態から抜け出し、開発者を身近に感じていただける。さらには、質疑応答が行えるとともに開発要望を直接伝えられる、といった双方向性を確立できたのではないでしょうか?


今回の「ロチェスター・スタディー・ツアー」の企画・実施を担当した古閑氏は、「沢山の方にご参加いただければ、参加費用も安くなります」と語ります。
2025年も継続開催の意向とのことですので、今回の参加を見送られた方々はぜひ次回参加されてはいかがでしょうか。

関連情報

IBM i 駆け出し日記:ロチェスター研究所に行ってきた

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